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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
四度目の冬支度
908/959

第808話 マリンのネックウォーマー

 今日は朝から雨が降っていて、肌寒い。

 暖炉の前には、子供の姿のマリンとセバスが陣取っている。暖かいせいか、二度寝をしているようだ。

 朝の一仕事を終えた私は、リビングの椅子に座りながら、インスタントのホットコーヒーを飲んでいるところだ。

 ケイドンの街の領主、ケディシア伯爵家からは、まだ何の連絡もない。だからチャーリーたちは教会で待ちの状態。

 情報は時々風の精霊たちが教えてくれるので、それほど焦ってはいない。

 捕らえられたミエパリーノ商会のロクシーたちは馬車でレミネン辺境伯領へと護送されているらしい。

 レミネン辺境伯領とケディシア伯爵領は隣同士とはいえ、辺境伯領の領都とは距離がある。移動は馬車だし、こちらの馬車の性能はそれなりだから、時間もかかるだろう。

 どうも辺境伯家でミエパリーノ商会の処罰をまとめてするらしく、護送を求められたらしい。

 これで厳罰でなかったら、辺境伯領は精霊たちに見放される、とピエランジェロ司祭が教会経由で伝えた(脅した?)らしく、かなり必死らしい。(風の精霊情報)

 早いところ解決させて欲しいものである。


「ふぅ~」


 窓の外を見る。昼間だけど、少し薄暗い。

 こんな天気の日は、黙々と作業できるようなものをするのが一番だ。


「あ、ネックウォーマー作ろうかな」


 そろそろ冷たい風で首をすくめるような時期だ。

 子供の姿の時のマリンとノワール用のネックウォーマー。ドラゴンや聖獣バスティーラの姿の時は使いようがないけれど、人型の時の首元は、見ているこっちが寒く感じるだろう。

 編み方がワンパターンなので、集中したら私でもすぐに編める。


「よし」


 コーヒーを飲み切ったマグカップをキッチンに持って行ってサッと洗う。

 タブレットの『収納』にしまい込んであった編み物道具(編み針や毛糸各種)一式を取り出す。毛糸の量が増えたので、プラスチック製の衣装ケースに入れてある。


「どれにしようかなぁ」


 前はあちら(日本)で買った毛糸が多かったけれど、今は半分以上がこちら(異世界)で獣人のジジババたちが作った毛糸になっている。

 最初の頃は赤や青といった単一色だったけれど、まだら毛糸も紡がれるようになった。

 

 ――ピンク系のが可愛いかも。


 マリン用のネックウォーマーを作ろうと、ピンク系の毛糸の束を取り出して、いざ、編み物タイム。

 ガズゥたちにあげたのよりも毛糸が太目。少し大きい編み目でゆったりした感じにしよう。

 パチパチと薪が爆ぜる音をBGMに、私は黙々と編み針を動かす。


「何作ってるの?」


 目が覚めたマリンがそばに立って聞いてきた。


「ん~、ネックウォーマー」

「それって、ガズゥたちが首にしてたヤツ?」

「そうそう。まだ半分しかできてないけど……」


 マリンの首元にあててみる。うん、可愛い。


「これ、私の?」


 目をキラキラさせながら聞いてくるマリンが可愛い。


「そうよ~。もうちょっと待ってね」

「うんっ!」


 元気よく返事をしながらも、そばから離れずに私の手元を見ている。人から見られるのは、ちょっと恥ずかしい。

 不意にマリンが窓際へと動いた。

 誰か来たのかな、と思いつつ、キリのいいところまで編み進めようとしていると。

 

「エイデンが帰ってきた!」


 マリンが嬉しそうな声をあげた。  

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