第795話 冬の準備の買い出し(1)
翌日、エイデンはガズゥたちの様子を見に行ってくれた。ガズゥたちよりも、どうも白狼族の里よりも北にある魔の森が気になるのだとか。
詳しい話は帰ってきてからしてくれるように頼んだ。まずはガズゥたちの無事のほうが大事だ。
「じゃあ、ちょっと買い出しに行ってくるから、お留守番よろしくね」
今日は久しぶりに、あちらへ買い出しだ。
まだキャンプ場の冬季休業の期間まではギリギリ時間はあるけれど、買い出しに行けるときに行っておかないと、気が付いたら過ぎてた、なんてなったら大変だ。
「わかったー」
「お土産ー」
「はいはい」
ノワールとマリンも私があちらに出かけるのにも慣れて、暖炉の前で二人でトランプをやっている。
セバスはその横で巨大な身体のまま眠っている。
――なんか、狭そう。
本格的に冬が始まる前に、リフォームしたほうがいいかもしれない。
私はいつもの軽トラに乗り込んで、あちらへと向かう。念のため、スマホの電源を入れておく。
トンネルを抜けた途端、土砂降りの雨。最悪のタイミングだったようだ。私はハンドルを握りしめ、運転に集中する。真っ白に煙る中走る道は緊張しかない。
稲荷さんのキャンプ場を横目に、ホームセンターへと向かう。
ホームセンターの入口近くに軽トラを止めると、軽トラに載せっぱなしのビニール傘を手にとり、車から降りた。
「さ、寒っ!」
ダウンジャケットを着てきて正解だった。私は、急いで店の中に駆け込んだ。
大きなカートを押しながら、店内を見て歩く。この天気のせいか、お客さんの数も少なめだ。
――そうだ。冬用の毛布。
自分の家用ではなく、孤児院用の毛布だ。
一応、グルターレ商会や街での買い出しで買ってきたのもあるにはあるけど、私からすると、やっぱり質が悪いというか。
カートに安くなってた毛布を山盛りにする。
――そういえば、孤児院のちびっ子たち用の冬服!
私から見たら、皆薄着で走り回っていて、こっちが寒くなるくらいなのだ。後でショッピングモールに寄って買いに行こう。
ちなみに、マリンもノワールも、不思議なことに人化した時は服を着ている。買った服も着てくれるけど。
他にも、もこもこのラグマットや、クッションなど、目についたものもカートに載せる。ハノエさんたち、ママ軍団へのプレゼントだ。
「あっ」
お会計をしてもらっている間に、外の天気を思い出した。
土砂降りの中、軽トラの荷台に毛布なんか載せられない。失敗したなぁ、と思って外を見てみたら。
「……晴れてる」
最悪、もう一度、荷物を取りに来るか、と思ったのでラッキーである。
店員さんにも手伝ってもらいながら軽トラの荷台へと載せる。雨でびちゃびちゃの荷台の上に、ビニールシートを敷いてから載せてもらった。当然、買った物全て、ビニール袋でしっかり包まれている。
――最悪、濡れても、精霊たちに頼めば大丈夫でしょ。
異世界万歳。
私は手伝ってくれた店員さんに「ありがとう」と言うと、次の買い出しへとショッピングモールへと向かった。





