表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
四度目の冬支度
885/960

第789話 ジジババと噂話(3)

 グルターレ商会の護衛の冒険者、というと、ドゴールさんのことだろう。王都で会った時も、マグノリアさんとなんだかいい感じに見えた。


「人族のリーダーかい?」

「そうそう」

「いいんじゃないかい? マグノリアだって、まだ若いんだ」

「いくつくらいだ?」

「確か33、4じゃなかったかい?」


 33、4で15、6の息子がいるって、どんだけ若い頃に結婚したんだよ(遠い目)、と思う。

 その年齢を聞いて、こちら(異世界)じゃ、今度31歳になる私にもガズゥたちくらいの子がいてもおかしくないんだよなぁ、と思ってしまう。

 実際にはいないし、いなくても周りにこれだけのちびっ子たちがいれば、お腹いっぱいではあるのだが。


「でも、結婚したら、村から出ていくことになるんじゃないかい?」


 ぽそりと、ババの一人が呟くと、皆、言葉が出なくなる。

 マグノリアさん一家は、すっかり村に馴染んでいる。ザックスくんは獣人たちに時々ダンジョンに連れていってもらうくらいだし、フェリシアちゃんは、ママ軍団と一緒に赤ん坊の世話の手伝いもしているのだ。

 彼らがいなくなったら、それはそれで寂しいと思う。


「まぁ、まだ結婚するかどうかなんて、わからんしな」

「そうだな」

「リーダーが振られるに一票!」

「わしもだ!」

「それよりも、グルターレ商会だよ」

「ああ、確か、王都で会った時に、南に行くって言ってたような」


 私がそう言うと、ジジババたちは一様に心配そうな顔になる。彼らも南の国とのきな臭い噂を聞いているのだろう。


「サツキ様たちが王都にいた時と言ったら、もう一月くらい前かね?」

「商会が南のどの国まで行くかにもよるが、年内に戻ってこれるのかね? サツキ様」

「うーん、どうかなぁ」


 さすがに、私もわからないので、チラリとその辺を飛んでいた風の精霊に目を向ける。

 

『うん? なーに?』

「グルターレ商会が今、どの辺にいるかなんて、わかったりする?」

『んー、すぐにはむりかなぁ。ちょっと、じかんをくれれば、わかるとおもう~』

「そっか。じゃあ、あとで教えてくれると助かるわ」

『そう? サツキが《《たすかる》》の? じゃあ、すぐにしらべてくるわ!』

「え?」


 いきなりやる気になった風の精霊が、ピューンとドッグランを飛び出して行くと、その後を同じような風の精霊たちが追いかけていく。


「え、えぇぇぇ?」


 思わず声をあげる私に、ジジババたちが驚いた顔を向ける。


「サツキ様、どうしました」

「いや、あのぉ、風の精霊に商会がどこにいるかわかるか聞いたら、調べてくると言って飛んで行ったんですけど……」

「けど?」

「なんか、すごい団体で飛んでったので……大丈夫かなぁ、と」

「ああ……」


 いつもの精霊の暴走が頭に浮かび、ジジババたちも苦笑いを浮かべる。


「だったら、ついでにガズゥたちのことも頼めばよかった」

『なーに、それならわたしたちがいってくるわよ?』

『さっきのに、のりおくれちゃったから』

『よし、おいらたちは、ガズゥのとこだね』

『いぇーい!』

「……えぇぇぇ」


 私のぼそっと言った呟きに、精霊たちは大乗り気で……また団体で飛んで行った。

 

 ――この山には、どれだけの精霊たちが集まってんだろう(遠い目)


 思わず「あははは」と空笑いをする私なのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミカライズ 3巻 9月22日頃発売予定

『山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~ 3』

GAノベルより 6巻 10月15日頃発売予定

『山、買いました6 ~異世界暮らしも悪くない~』

山、買いました



cont_access.php?citi_cont_id=731729576&size=300
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ