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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
四度目の冬支度
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第788話 ジジババと噂話(2)

 ジジババの噂話は止まらない。


「白狼族の里は、だいぶ奥地にあるからのぉ」

「なんだ、あんたは行ったことでもあるのかい」

「あるわけなかろう」


 そう言い切ったのは、毛梳きのリーダーのゲッテルさん。


「そうだよなぁ。お前さんは、行ってせいぜい隣村くらいだったな」

「わ、悪いかっ」


 ケラケラと笑うジジババに聞いて見ると、昔あった獣人の村の隣村にゲッテルさんの許嫁がいたらしい。ちゃんと結婚はしたけれど、だいぶ前に亡くなったそうだ。


「ネドリに聞いた話じゃあ、エルフの里よりももっと北にあるってぇ話だ」

「そりゃぁ、だいぶ北だな」

「この時期じゃ、もう雪も降ってるんじゃないかい?」


 この辺りもだいぶ冷え込んできたのを考えると、確かに北のほうでは雪が降り出していてもおかしくはないかもしれない。


「雪が降りだしてたら、戻ってこれまい」

「戻るのは春かねぇ」

「冒険者なら、よくあることだがぁ、ガズゥはまだ12くらいじゃろ?」

「そういやぁ、冒険者登録はしておるんかの?」

「ネドリがおるんだ。途中の町で登録ぐらいはするだろ」


 自分たちの孫のように心配するジジババたち。


 ――そうか。うちの村の子たちも、冒険者登録できる子たちがいるんだっけ。


 孤児院の年長組の子たち(マークやケイン)はすでにDランクで、年少組の中で一番年上なのはルルーが、確か13才だったか。

 話を聞くと、年齢的には10才から登録はできるらしい。ただし見習いのような位置づけらしく、町の中でできるような作業がほとんど。

 魔物の討伐ができるような依頼は12才以上にならないと登録できないそうだ。

 ガズゥたちは、すでにバリバリ魔物を狩ってたけど。

 そういえばテオは10才。彼は冒険者登録をするんだろうか……するだろうなぁ。


 ――でも、ケイドンでは登録させられない。


 ここから一番近いとはいえ、あんな場所には行かせたくはない、と思うのは私だけではない。先日のゴタゴタの話は、ジジババも聞いている。


「そうだねぇ。人族でも、ケセラノ(獣王国)の街では登録はできるからね」

「一度、子供たちに聞いてみるのもいいかもしれないねぇ」

「その時は、誰がついていく?」


 小旅行の引率者になるべく、俺が、私が、と話が盛り上がる様子に、ほっこりする。


『だったら、私も行きたいわ』

『当然、よね』


 毛梳きをされていたホワイトウルフの中に紛れ込んでいた、ウノハナとシンジュが声をあげる。


「はいはい。その時は護衛をお願いね」

『任せてよ』


 機嫌よくブンブンと尻尾をふるウノハナ。


「ちょ、ちょっと、ウノハナちゃん、埃が舞うから、やめておくれ!」


 近くで毛梳きをしてたババの一人が声をあげた。 


『ごめんなさーい』


 言葉は通じていないものの、凹んでいるのが伝わるから、皆がクスクスと笑う。


「そういやぁ、グルターレ商会はいつ頃来るかね?」

「この前、マティーくんたちが買い出しに行ってくれたがぁ、商会でないと買えない物もあるし」

「そうそう、買取もお願いしていのもあるしねぇ」

「ドワーフたちの酒だろう?」


 ワハハハと楽しげな笑い声。


「それにさ、あの護衛の冒険者……マグノリア狙いだね」


 ババの一人が、ニヤニヤと笑いながら、声をひそめてそう言った。


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