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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
四度目の冬支度
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第787話 ジジババと噂話(1)

 毛梳きチームの中に紛れて、私もホワイトウルフの毛を梳きつつ、ジジババたちの話を聞く。


「そうだねぇ。最近は若いもんが村にいることが増えたから、前の村よりも賑やかだねぇ」

「そうそう。赤ん坊たちの泣き声も聞こえるしね」


 ワハハハと楽しそうだ。

 前の村では、多くの若者は冒険者になるために村を出て行ってしまうし、若い夫婦がいても、なかなか子供が産まれなかったり、産まれても育たなかったりと、厳しい環境だったと、しみじみ語るジジババもいる。


「それを考えると、ここに来ることができて、私らは幸せだよ」

「んだなぁ」

「そういやぁ、ケニーとラルルはいつ結婚するんだい?」

「あれ? まだ結婚してなかったか?」


 いきなり結婚話へと話題が飛ぶ。

 

「あいつらは仲はいいんだがなぁ。従兄弟同士だから、そういう感じじゃないんじゃないかい?」

「そうだなぁ。まぁ、よそで相手を見つけてきてもいいがな」

「ハノエんとこの末の妹のネシアのほうが、先に結婚しそうだな」

「ああ、白狼族の男がべったりのあれな」


 自分のことに振られなければ、人の恋バナは聞く分には楽しい。

 他にも若者たちの名前をあげては、あれはどうだ、こいつはどうだ、とジジババは話が盛り上がる。

 そんな中、チラチラと視線を向けてくるのは、マカレナだ。これは、自分に話を振って欲しいということか。たぶん、違うだろうけれど。


「マカレナはどうなの?」


 期待(違う)に応えて質問をする私。


「えっ!?」

「おや、マカレナにもそんな話があるのかい?」

「えええ!?」


 まさか自分が聞かれるとは思っていなかったのか、ワタワタしだすマカレナ。ブルノは自分の姉のことなのに関心がないのか、毛梳きに集中している。

 むしろ、ラオとトコが気になっているようだ。


 ――これは、牛飼い同士でくっつくのか?


 ニヨニヨしながら様子を見ていると、顔を真っ赤にしたマカレナが「知りませんっ!」と言って、ドッグランから出て行ってしまった。


「あらあら、揶揄い過ぎたかねぇ」


 ジジババがクスクス笑っていると、一人のババがラオにこそりと話しかけると、ラオが顔を赤らめながら恥ずかしそうにドッグランから出て行った。

 マカレナの後を追いかけていったのかもしれない。


「トコとブルノはいいの?」


 毛梳きの手を止め、二人に聞く。


「え、何?」


 ……ブルノはマカレナが出て行ったことに気付いてもいなかった。


「兄ちゃんが行ったから。俺はおじゃまだろ?」


 ニヤリと笑うトコに、おやおや、と思う。


「マカレナ姉ちゃんが、兄ちゃんとくっついたら嬉しいんだけどな」

「なーに、くっつくって」

「ブルノは、毛を梳いてろ」

「??? わかった」


 二人のやりとりを、ジジババと一緒にほのぼのとした気持ちで見ていると。


「そういやぁ、ガズゥたちは、もう白狼族の里まで行けたかねぇ」


 子供たちを見てたからか、ガズゥを思い出したジジの一人が、ぼそりと心配そうな声をあげた。

 ガズゥたちが村を出て4カ月近く経っている。何の連絡もないけれど、『便りの無いのは良い便り』という。

 きっと大丈夫だと思いたい。


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