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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
四度目の冬支度
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第787話 毛梳きチーム

 今日も天気は晴れ。

 気持ちのいい風を受けながら、私はログハウスの下の果樹園を抜け、ドッグランへ向かう。

 ホワイトウルフたちが日当たりのいいところでお昼寝をしている様子に、ほっこりする。その中に、数人の獣人のジジババたちが、ブラッシングしている。気持ちがいいのか、くーくーといびきをかいて寝ている子もいる。


「おや、サツキ様」

「久しぶりだね」


 ジジババたちに声をかけられ、そばにいく。


「凄い毛の量だね」

「大勢いるからねぇ」


 ハハハと楽し気な笑い声。

 確かに、ドッグランにはたくさんのホワイトウルフたちがいるんだけど……入りきらない子たちが外で、まるで出待ちのように集まっているのだ。


「手伝おうか?」

「ありがとうございます。でも、そろそろ手伝いが来てくれるんで」

「手伝い?」

「ばあちゃんたち、お待たせ……って、サツキ様!」


 現れたのは牛の面倒を見てくれているマカレナとブルノ、ヨシヒトさんのところのラオとトコだった。

 いつも朝早くにうちまで牛乳を配達してくれているマカレナとブルノ。たまに朝出会うこともあったけど、寝坊気味の私と遭遇するのは、あまり多くはなかった。

 ラオとトコは、村の寺子屋にたまに来ているときに会うくらいだ。


「なに、四人がお手伝いなの?」

「はい」


 ニコニコしながらマカレナがババチームのほうへと、少年たちはジジチームへと手伝いに入る。

 楽しそうに話しながら作業をしているマカレナとブルノだが、村に来たばかりの頃は、ガリガリで、まさに浮浪児という感じだったけれど、今ではアラブ系の美少女と美少年、という感じだ。

 そういえば、二人は南の国のほうから逃げてきたと聞いて事がある。

 あまり深くは聞かなかったけれど、今回の揉め事が、彼女たちの出身の国でなければいいのだが。


「サツキ様、こいつを運ぶのを手伝ってもらえないだろうか」

 

 毛梳きチームのリーダー、ゲッテルさんに声をかけられた。


「どこに?」

「ああ、作業小屋の脇に洗濯機があるんで、そこにお願いしたいんだが」


 ホワイトウルフたちの毛を一度洗ってから、糸にするのだ。前は手洗いをしていたので、洗濯機になって便利になったそうだ。

 私はタブレットの『収納』に全部しまうと、作業小屋の脇へとやってくる。


「……なんか、業務用の洗濯機みたいね」


 目の前にあるのは、ドラム式の洗濯機の3倍くらいありそうな洗濯機が3台並んでいた。


「ギャジー翁が、我々の作業が楽になるようにと、作って下さったんですよ」

「おかげで、洗いの作業がなくなって助かってます」


 ――私は『収納』で綺麗に出来ちゃうもんな。


「あ、だったら、今預かってるのだけは、私のほうでやっちゃおうか」

「え、ああ! そうしていただけると助かります!」


 魔道具の洗濯機があっても、洗い上がった物を干したり、小屋に運び込んだりの作業は発生するのだ。

 とりあえず、私は作業小屋の空きスペースに、取り出すときに綺麗にしたホワイトウルフの毛を出していくのだが。


「これじゃ作業できないんじゃない?」


 作業スペースがなくなるくらいに毛が溢れてしまった。

 仕方ないので、新しい作業小屋を『タテルクン』で作ったのは言うまでもない。

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