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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
異世界を旅する秋
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第736話 旅行の準備は楽しい(2)

 ノワールたちが荷物を積み込んでいる間に、私は畑と鶏小屋をチェックする。

 昨日のうちに畑の野菜は収穫済みで、真っ新な状態。収穫したものは、すべて『収納』にしまい込んである。

 鶏小屋では、鶏たちが元気にコッコ、コッコと鳴いている。

 一応、私が不在の間の世話はテオとマルに頼んであるので、大丈夫だろう。忘れても、ママ軍団が来てくれるとの約束をしている。


「あ、卵発見」


 今朝、卵を拾いに来た時に全部採ったと思ったのだけれど、新しく生まれたのかもしれない。

 タブレットに『収納』した私は、ログハウスの敷地を出て、果樹園へと向かう。

 果樹園のほうも、ブルーベリーとマルベリーと梨はすでに収穫が終わっているけれど、オリーブ、みかん、栗はこれからだ。

 みかんには緑色の小さい実が、栗にも緑のいがが見えている。

 もう少ししないと色付かないだろうけれど、熟しているものがあれば収穫してもらって構わないと、村には伝えてあるので、もったいないことにはならないだろう。

 ちなみに、山裾の田んぼの稲のほうは、すでに立派に穂を実らせていていたので、村人総出で稲刈りをして、今は干してある状態だ。

 脱穀の仕方なども教えてあるので、彼らのほうでなんとかしてくれるだろう。わからなかったら、私が戻ってくるまでマジックバッグにしまっておくと、ハノエさんが言っていた。どうも、ギャジー翁に大量収納できるマジックバッグを作ってもらったらしい。

 家の周りで気になるのは、こんなところだろうか。


「とりあえず、稲荷さんのキャンプ場の閉まる前には、戻ってこないとね」


 さすがに年末年始の買い出しをせずに、こちら(異世界)にいっぱなしというのは、怖い。

 こちら(異世界)で困るのは、調味料だ。

 グルターレ商会が行商に来るし、新人の若者たちがケイドンの街に行けるようになれば手に入るかもしれない。しかし、塩や砂糖、油の質や値段もさることながら、醤油や味噌など手に入らない物があるのは、何気に痛い。

 昨日の買い出しの帰りに念のためと思って稲荷さんのところに立ち寄って、長期不在のことを伝えておいた。

 エイデンも一緒にと伝えたら、そちらのほうが心配だと言われてしまった。

 稲荷さんの気持ちも、凄くわかる。

 だから、こちら(異世界)の常識がわかる人に同行してもらおうと思ってはいるのだ。

 

「五月~」

「は~い」


 ノワールが呼んでいる声が聞こえたので、果樹園からログハウスの敷地のほうへと戻る。

 馬車の前には、ノワールたちの他に、ウノハナたちまでやってきていた。


『五月、出かけるの?』

『一緒に行ってもいい?』


 きゅるんとした目で見つめてくるウノハナとシンジュ。

 以前だったら、下から見上げた彼女たちの可愛さに、うん、と答えてしまったかもしれないが、今の彼女たちはすでに大きく育っていて、私の顔の位置に、彼女たちの顔がある。

 さすがに、こんな大きな身体のホワイトウルフを連れては行けないだろう、というのは、私にだってわかる。


『我儘を言うんじゃありません』

「シロタエ」


 のそりと現れたシロタエ。ウノハナたちとは貫禄が違う。

 ビャクヤがいないせいもあって、今は彼女が群れのボスとなっているからかもしれない。


『五月様、山や村のことはご心配されませんように。私たちがお守りしますので』

「うん、ありがとう。ウノハナたちも、ここをしっかり守ってね」

『うーん』

『えぇぇぇ』


 納得してない様子の二匹だけど、シロタエにギロリと睨まれて、シュンとなっている。

 シロタエがいれば、きっと大丈夫だろう。

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山、買いました



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