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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
メンテナンスしまくる初秋
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第723話 異世界版『すまほ』

 再起動したヴィッツさんがしたことは、自分の『すまほ』でギャジー翁に連絡をとったこと。


「え、それでも大丈夫ですか?」

『(わからんよ。一度試して貰ってくれんか)』

「わかりました」


 ギャジー翁との話がついて、通話を終わらせたヴィッツさん。

 通話の仕方が、普通に電話のようにしている姿は、ちょっと面白かった。

 ただ、『すまほ』のかけかたが、私のスマホとは若干違って、『発信』という言葉とともに相手の名前を言えば、相手の『すまほ』に繋がるらしい。通話を終わらせるのも『終了』と言わないと切れないらしく、私には微妙な感じが拭えない。

 ちなみに、受ける時には『受信』と言うらしい。声に出して使う感じが、どこぞの『おっけー、ぐるぐる』みたいだ、と少し思ってしまった。

 どこから音声が聞こえるようになってるのか、とか、電波で通話してるのかな、とか、色んなことがすんごい不思議だったけど、そこはファンタジーな異世界だし、と勝手に納得しておく。


「サツキ様」

「は、はい」

「ギャジー翁いわくですね、ご自身の魔力が無理でしたら、精霊に頼んでみてはどうか、とのことでして」

「え、それで使えるようになるの?」

「まぁ、使用者認証はできませんから、誰でも使えるようになってしまう可能性がありますけど」

「ん? もしかして、ヴィッツさんの『すまほ』はヴィッツさんしか使えない?」

「はい。それが使用者認証なんで」


 ――それは、便利なようで便利ではないような。


 とは思ったけれど、口にはしない。

 仕方がないので、私は近くを飛び交っている精霊たちに魔力をこめてもらえないかとお願いすると。


『まかせて!』

『わたしがやるー!』

『おれ、おれ、おれ~!』


 手元が精霊たちでピカピカ光りだした。


「う、うわわわわ」

「……さすがですねぇ」


 ヴィッツさんが顔をひくつかせながら、手元を見ている。


「大丈夫ですか」

 獣人たちには何が起きているのかわからないようで、私が驚きの声をあげたのに気付いて、ガイシャさんが慌てて近寄ってきた。


「だ、大丈夫です」

「ちょっと精霊たちが集まりすぎてるだけですので、大丈夫ですよ」


 ヴィッツさんの言葉に、獣人たちは目を見開いて周囲を見回すけれど、彼らには見えない。


『あれ~? もうはいらない?』

『サツキ、サツキ、まりょくいれられない』

「え、もういっぱいなのかな」

「魔力が入れられなくなったら完了ですね」

「だって。精霊たち、ありがとうね」

『ふふーん。これくらい、たいしたことないしー』

『いつでも、いってね?』

『くそー、まにあわなかったー』


 精霊たちの賑やかな声に、私も笑みを浮かべてしまう。


「さて、これで魔力は十分なはずなので、通話に挑戦ですね」


 ニコニコと嬉しそうに説明をしだしたヴィッツさん。

 現段階では、ギャジー翁とヴィッツさん、それに私の3台しかないので、繋がる先は、この3人のみ。

 それも、私の『すまほ』は使用者認証がないので、名前を言っても繋がらない、発信限定になってしまっているらしい。

できればボタンのような物でもできるようになってるとありがたい。


「とりあえず、村に戻ってからギャジー翁に相談してみましょう」

「そうですね」


 これで双方向で連絡がとれるようになったら、ログハウスにいながら村との連絡もしやすくなる。何かあれば毎回、子供たちがやってきてたので、申し訳なく思っていたところなので、少しは便利になりそうだ。

 私は試しにギャジー翁に『発信』してみた。


 ……出ない。

 ヴィッツさんの時には、すぐに出たのに、うんともすんとも聞こえない。

 スマホだったらコール音が聞こえるんだけど、この『すまほ』の場合は無音なので、すごく不安になる。


「え、まさか、繋がらないとかないよね」

「いやいや、そんなことは」


 一旦、私のほうからの『発信』は『終了』して、ヴィッツさんが再度『発信』する。


『(どうした)』

「あ、繋がりましたね」


 ――え、何それ。『発信』してすぐに出てるんですけど。


「ギャジー翁、先ほど、サツキ様が『発信』されたのですが」

『(え、なんだって……全然気付かなかったぞ)』

「一応、精霊たちに魔力はこめてもらえたんですけど」

『(ふむ、一度、サツキ様の『すまほ』をみせて頂いてから考えようか)』

「はい、わかりました」


 どうも『発信』すらできていないようだ。

 その後、ヴィッツさんの『すまほ』にもかけてみたんだけど、着信があると魔石が光るような仕様になっているのに、ぴかりともしなかったのだ。


 ――さっさと村に戻って、みてもらおう。


 そう強く思った私なのであった。


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