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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
冬ごもり、満喫中

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第75話 ホワイトウルフの毛を梳く

 久しぶりに雨が上がった。


「う~、さぶいっ!」


 朝、外に出て、周囲の様子を見ると、あちこちで霜柱がたっている。


「さ、さぶいはずだわ~」


 家の中も、かなり寒い。少しくたびれた半纏に、もこもこのスエットの上下、靴下も2枚履きでも、寒い。


「う~ん、こたつが欲しいかも~」


 ログハウスの中に戻り、暖炉に火をつける。相変わらず、着火ライターで点ける私は、まだまだキャンプ初心者だな、と思う。……単にめんどくさがりとも言えるけど。今は、早いところ温まりたいのだ。


 朝食を食べ終え、ぼーっとしていると、外から「わんわんっ」というホワイトウルフの子供たちの鳴き声が聞こえてきた。

 私は窓から外を覗くと、2匹が目の前の敷地で元気に走り回っている。


「ああ、せっかくの綺麗な白い毛が」


 ぽつぽつと泥が跳ね上がっているようで、白い毛に汚れが飛びまくっている。


「しっかし、こんなに寒いのに元気だよなぁ……毛皮、温かいのかなぁ……ん?」


 ふと、あの毛って使えないのかな、と思った。

 あちらでは犬の毛のフェルトとか、毛糸を作ってるとか、そんな話を目にしたことがある。実際に、自分でやろうとは思わなかったけれど、この冬の手仕事にしてもいいんじゃない? なんて思った。上手く出来るかわかんないけど。


 思い立ったが吉日。


 せっかくの晴天なのに洗濯をしないのはもったいないので、朝一の仕事で洗濯機を回す。



 その日は、ホワイトウルフの子供たちのブラッシングに終始することにした。何せ、身体がデカくなっているものだから、1匹だけでも、時間がかかるのは目に見えている。


『さつき~、せなかのしたのほうも~』

「はいはい」

『うお~、きもちいい~』

「そうかい、そうかい」


 初めてのブラッシングに、ハクは超ご機嫌。

 ブラッシングしながら思った。


 ――もっと大きなブラシにすればよかった!


 たぶん、柴犬サイズだったら十分だったろうに、ピレネー犬サイズ2匹には、ちまちまとしかブラシがかけられない。

 それでも2匹分ともなれば、本来は相当な量になるわけなんだが。


「うん、なんとなく予想してた」


 全部、『収納』されてた。あれも草刈り同様、収穫? 扱いになるんだろうか。

  

「えーと、うん、『ホワイトウルフの毛』あるね」


 メニューを選ぶと、『廃棄』『分解』『合成』『売却』と、全てのメニューが利用できるようだ。


「当然、『廃棄』はしないでしょ。『分解』って、この毛、分解したら何になるの」


 さすがに全部はマズイので、一度外に全部出してみる。目の前にこんもりとたまった毛にびっくり。ここまでとは思ってなかった。

 その中から、一握りだけ手にして『収納』する。

「えーと、『分解』」


 ……毛と泥などのゴミに分かれました。

 てっきり、タンパク質~とか、そういうのになるかと思ったら、そこまではいかなかった。ラッキーと思いながら、念のため、もう一回、毛だけ『分解』しようとしたのだけれど、今度はメニューが利用できなくなっていた。


「なるほど。金属とは違って、成分的なものまでの分解はしないのね」


 そうなれば、全部、『分解』すれば、洗う必要がないんじゃ!?



 ……後日、Tシャツを『分解』したら、ただの布切れになってしまいました。

 そこまで安易ではなかった。がっくり。

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