第693話 キャサリンを守るには?
キャサリンのミサンガの精霊たちを成長させてしまったことに気付いた、他の精霊たち。あっという間に、私の周りに集まったのは言うまでもない。
しかし、エイデンの威圧? のおかげで、一気に逃げてしまった。
それにしても、これはもしかして、『聖女』の力、とかいうものなのだろうか。今まで、タブレットで『鑑定』した時にしか意識したことがなかったけれど、こうもあからさまに効果が出てくると、ちょっとばかり、怖くなる。
「大丈夫か?」
私が不安に思いながら、自分の両手を見ていると、エイデンが私の背中を優しく撫でながら問いかけてきた。
「あ、あー。うん。大丈夫、ではないな」
正直、目の前で起きたことに、自分の心が追いついていないのが現実。そのせいか、少しばかり、素直に答えてしまった。
「ふむ。何が大丈夫ではない?」
心配そうなイケメン顔に、ちょっとばかりドキリとしたのは、許して欲しい。
「いや、あの、うーん」
うまく言葉にならない。
――とりあえず、深呼吸をして、落ち着こう。
ふぅ、すぅ、はぁ……
とりあえず、今までだって、軽く触れたりはしたけど、いきなり姿が変わったなんてことはなかったし、普通に振舞う分には問題ないに違いない。そうだ、そうだ、と無理やり納得させる私。
「……よしっ、大丈夫になった!」
「えぇぇ!?」
なぜか驚くエイデンだったけれど、私はニコリと笑ってスルーする。
「とりあえず、精霊がパワーアップしたのはいいことだし、これで、キャサリンが守られるんだから、よし!」
むしろ、もっと、キャサリンを守れる何かをあげた方がいいのでは、という気持ちになる。
――身を護るような魔道具とかないのかな。
前に、エイデンからダンジョンの宝物で『守護の指輪』を貰ったけれど(すでにガズゥにプレゼント済)、同じような力のある魔道具はないんだろうか。
モリーナやギャジー翁あたりに聞いてみるのもいいかもしれない。
二人がグルターレ商会の面々と品物のやり取りをしていた姿をみかけていたので、村の中にはいるはず、と思い、まずはモリーナの家に向かうことにする。
「モリーナ、いる?」
玄関の戸を叩くと、ドアを開けたのは、モリーナのお世話係でアクセサリー職人のアビー。
モリーナの存在感が強すぎるせいで目立たないアビーだけれど、彼女の手綱さばきのおかげで、アレでもモリーナを抑えてもらえてるというのを、大地くんから聞いている。ありがたい存在だ。
「こんにちは、アビー。モリーナは?」
「いらっしゃいませ。モリーナでしたら、今は、ギャジー翁のところに行ってますけれど、何か御用でしたか?」
「うん。あ、アビーが知ってたら教えて欲しいのだけれど……」
モリーナのそばにいる彼女だったら、魔道具のことも知ってたりするかしら、と思って相談してみると。
「なるほど。そうですねぇ……物理攻撃や魔法攻撃あたりを防御するような魔道具は、モリーナの商品にもありますね」
「おお! やっぱりあるんだ」
「ええ。でも、デザイン性がイマイチなので、サツキ様が使うにはちょっと……」
「いやいや、私じゃなくって、キャサリンにと思って」
「キャサリン? ああ、サツキ様がお助けになった人族のお嬢さんでしたっけ。……確か、いいとこの子ですよね」
「うん? そうね。公爵家って言ってたよ?」
「一度、襲撃されてるんだったら、さすがに今は防御のための魔道具は持たされてるんじゃないですか?」
「あ」
アビーの指摘に、そうかも、と思ってしまった。





