第676話 村への道に石畳を敷こう
田んぼの稲を起こす作業は、後から追いかけてきた村人たちが手伝ってくれたので、日が暮れる前に終えることが出来た。
その後は、山の周辺で土砂崩れが起きていないか、シロタエの背に乗りながら見て回った。
あんなに激しい雨だったわりに、大きな土砂崩れは起きていなかったのでホッとした。それでも、一部、岩が剥き出しになっているところがあったので補強したり、転がっている石や岩を拾ってまわった。
むしろ、エイデンの城周辺のほうがヤバそうなのだけれど、まだエイデンたちは戻ってきていない。
帰ってきた時のエイデンがショックを受ける姿を想像してしまい、本当に申し訳ないんだけど、ちょっとだけ笑ってしまった。
エイデンだったら、きっと何とかするに違いないけど。
次の日になって、水はある程度引いてはいるものの、ドッグランから村のほうに向かう道は相変わらず泥んこ状態。大勢が田んぼの手伝いに来てくれたこともあって、ぐちゃぐちゃになってしまった。
「これは、石畳にするしかないでしょ」
朝早くからドッグランまで下りてきた私は、目の前の泥の道を見て、俄然ヤル気になる。
「ノワールとマリンは、ドッグランでお留守番ね」
タブレットを片手に立っている私の後ろで、水浴び場に浮いているゴミを魔法で排除しているマリンとノワール。
みかけはお子ちゃまだけど、魔法を使える二人は、ゴミ掃除が楽しいらしい。
「わかったー(ゴミがなくなったら、入ろうね)」
「はーい(まだ、水は汚れてるぞ?)」
「(すぐに綺麗にするわよ)」
「なに、コソコソ喋ってるの?」
素直に返事をしたわりに、いたずらっ子のような顔をしている気がするんだが。
「なんでもないよー」
「ほら、はやく道を作るんだろ?」
怪しい、と思いながらも、涼しいうちにできる作業はやってしまうに限る。
私はタブレットの『ヒロゲルクン』を立ち上げると、泥だらけの道よりも少し幅を広めに範囲を設定して、目の前から村までの間を指定して『整地』を選ぶ。
トトト、と泥でぐちゃぐちゃだった道が、乾いた土に変わる。
――水分はどこへ行った!?
毎回の不思議設定に、遠い目になる。
「まぁ、いっか」
気を取り直して、続けて石畳を敷いていく。
材料となる石は、今まで『廃棄』せずにとっておいた石や岩の他、昨日、山の周辺を見てまわった時に拾った物も使っていく。
牧場を超えたあたり、村までまだ半分くらいのところで、 タブレットの画面には『素材が足りません』メッセージが表示された。けっこう在庫があると思っていたのに、意外になかった。
これは石を採りに行かないとダメだろう。
「うーん、どこに採りに行こう」
『なぁに?』
『どれどれ、いしがたりないのか?』
『だったら、エイデンにたのめばいい』
精霊たちがタブレットの周りに集まりながら、勝手なことを言う。
「いやいや、エイデン、まだダンジョンでしょ?」
『うん? かぜのが、そとにでてきたといっているぞ?』
『しろにもどろうとしてるらしいぞ』
『あ』
精霊たちの会話が止まる。
『なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁ!』
まさかの、エイデンの雄叫びが、ここまで聞こえた。





