第673話 立ち枯れの拠点と村の様子
テオたちに先に行ってもらって、歩いて追いかけた私。ノワールたちは、そのまま家で留守番だ。
長靴で向かったせいもあってか、立ち枯れの拠点に到着した頃には、汗だらだらの状態になっていた。
周辺を見渡すと、思っていたほど、大きな石が落ちている様子はない。小さな石の粒のような物や葉や枝がパラパラ落ちている。
むしろ、山の斜面のほうに落ちているのが見える。大きさにしたら、私の頭くらいありそう。あんなのが落ちてたら、東屋や鶏小屋も壊れていたかもしれない。
――なんでだろう?
ぐるりと見渡して。
「……あ、ここも結界があったっけ」
拠点の周辺が、ガーデンフェンスで囲われていたのを思い出したのだ。
しかし、ここが谷間にあるせいか、水はけが悪いのか、ログハウスの敷地の地面よりも、水がにじみ出ている感じだ。
足を踏み出すと、長靴が少しだけぬるっと埋まる。テオたちの足跡もクッキリ残っている。
「あー、水の精霊さん、また、水分を飛ばして欲しいんだけど」
『まかせてー』
「っと、その前に!」
また目の前でびしょ濡れにされたら、たまらない。
水の精霊に、水は大きな川のほうに持っていけないか、聞いたら、できるというのでお願いする。
「おおお~!」
ログハウス前の時と同様に、目の前にぶわわっと白い靄が一気に吹きあがったかと思ったら、そのままスイーット山を超えていった。
今回は無事に濡れなかった。
綺麗に乾いた拠点の中を抜け、村のほうへと向かっていく。拠点の出口も少し乾いているんだけど、村のほうに近づくほどに、地面がぬかるんでくる。
「あー、ここから村までもお願いしてもいい?」
『フフフ、まかせて、まかせて~!』
私がお願いするのが嬉しいのか、水の精霊たちはご機嫌だ。
私が進むたびに、目の前から、どんどん靄が立ち上がり、山を超えていく。ちょっと面白くなってくる。
拠点の中よりも、木の枝や葉がかなり散乱しているし、山裾に沿って植えてあった果樹の実も、熟していない青い実がいくつも落ちていた。これは、村人たちもがっかりするかもしれない。
葡萄のほうは大丈夫だろうか。ドワーフたちが怒り狂う姿が想像できて、ちょっと怖い。
村の中に入ってみると、すでに水はひいていたが、やはりぬかるんでいる。
「サツキ様!」
ハノエさんが、背中に次男のゲッシュを背負いながらやってきた。ハノエさんの声にも反応せずに、ムニュムニュと親指を口に含みながら寝ている。大物になりそうだ。
「雨、凄かったね」
「はい。あんなに酷い雨は、初めてです」
一緒に歩きながら、村の中を見て回る。
「でも、水はけがよくて助かりました。テオたちが山に向かって、徐々に水がひいていってくれたので、ぬかるむ程度になっています」
「畑のほうは」
「はい、あちらも大丈夫です」
そう聞いてホッとした。
一通り村の中を見て回って、村人たちの元気そうな姿も確認する。さすがに、ここまではエイデンの城の欠片は飛んできていなかったようだ。
「あとは、外が大丈夫かどうかね」
村の石壁の外にある教会や、外部向けの売店用の建物、宿舎が気になるところだ。
本日(6/30)は、カドコミでコミカライズ版『山、買いました』が更新しています。
ぜひ、読んでみてください。 <(_ _)>





