表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
色々リニューアルするぞ、な夏

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

755/1013

第668話 稲荷さんからの『お土産』という名の『貢物』

 大地くんが来た翌日の朝には、キャンプ場で忙しいはずの稲荷さんが、色んなお土産を持って挨拶にやってきた。


「ほんと、すみません」


 首にかけたタオルで額の汗を拭いながら、謝り倒す稲荷さん。

 今回お持ちいただいたお土産は、メロンとスイカを段ボールでそれぞれ3つずつ。ビールや洋酒、日本酒に至っては樽で持ってきてる。

 他にも子供たち用なのか、某子供服専門店のショッピングバックが山積みになっている。

 メロンもスイカも、うちの畑では育ててないので、ありがたい。

 お酒や子供服関連は、村人たちへの差し入れということだろう。軽トラの荷台がお土産で溢れている様子に、稲荷さんなりに、かなり気を使っているのが見て取れる。

 昨日のうちに買いに行ったのだとしたら、キャンプ場の忙しい時期なのに、こちらのほうが申し訳なくなってくる。


「大地のことですから、ギャジー翁のところで魔道具作りで籠ってるとは思うんですがね」


 奥さんと娘さんのほうが心配だったらしい。

 大地くんに出禁の話をしてあるものの、マメに連絡するなり、顔を出しに行くなり、と念押しをしておいたほうがいいかもしれない。


「何かありましたら、すぐに駆けつけますんで!」


 それだけ言うと、キャンプ場が忙しいらしく、稲荷さんはお土産だけ置いて帰っていった。

 心の中で、こっそり応援だけしておく。


「……さて、さっさと『収納』しておこうか」


 ログハウスの前に山積みされていた荷物をしまうために、家の中に置いてあるタブレットをとりにいく。


「稲荷、帰った?」


 風呂場のほうから、ひょっこりと顔を出したのはノワール。


「うん、帰ったよ」


 どうも子供の姿を見られるのが嫌らしい。可愛いのに、と言っても、稲荷さんに揶揄われるに決まってると言って、隠れてしまっていたのだ。


「ねぇ、五月、すごく甘い匂いがするんだけど」


 ノワールと一緒に隠れていた、未だに人の姿のままのマリンが、鼻をクンクンさせている。

 二人とも、お揃いのTシャツにハーフパンツ姿だ。


「この匂いはメロンかなぁ」

「めろん?」

「めろんって何?」


 『収納』する前に、段ボールを開けてみると、中に入っていたのは、立派なマスクメロンが8個。甘い匂いが、もわっと溢れる感じだ。


「うわ、これ、すごいイイヤツじゃない?」


 手に取ってみると、ずっしりとした重みがある。


 ――稲荷さん、かなり奮発したな。


 思わず苦笑いを浮かべてしまう。


「凄く甘い匂い~!」

「ねぇ、ねぇ、食べちゃダメ?」


 私と一緒に段ボールの中身をのぞいていた、ノワールとマリンにせかされて、ログハウス前の荷物を『収納』すると、すぐに家の中に入る。

 1個だけ取り出して、冷蔵庫にしまう。ちなみに、水の精霊にこそっと、早めに冷やしてくれるようにお願いする。


「えー、なんでー」

「食べないのー?」

「冷たくしたほうが、もっと美味しくなるのよ」

「そうなの?」

「そうなの」


 二人を宥めながら、再び『収納』してある物をチェックする。

 子供服は、ノワールとマリンにも着られそうな物があるようなので、リビングにショッピングバックごと出した。


「この中から、欲しいのを選んでくれる? 残ったのは村に持ってくから」

「いくつ選んでいいの?」


 目をキラキラさせているのはマリン。ノワールは関心がないのか、セバスのほうへと歩いて行った。

 セバスは最初から無関心で、部屋の隅で寝ている。


「村の子たちのことも考えてよ」

「わかってるわ!」


 マリンと同じ5、6歳の女の子もいるので、あんまり彼女が貰ってしまうと、バランスが悪くなる。

 結局、青と白のストライプのシンプルな半袖のワンピースを選んだマリンは、すぐにその場で着替えてしまった。


「似合う? 似合う?」


 メロン用の食器皿を出している私の足元にやってきて、くるりくるりと回って見せるマリン。


「うん、可愛いね。でも、メロン食べるんだったら、汚れちゃわない?」

「あ!」


 慌てて、Tシャツにハーフパンツに着替えなおしたマリンなのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ