第665話 いざ、宿舎リニューアル
午後からは、村の外にある来客用の宿舎のリニューアル作業だ。
ノワールとマリンは、シンジュの背中に乗って追いかけてきた。セバスは暑いのとめんどくさいからと、我が家でお留守番をしている。
ノワールの人化は村人たちも知っていたけれど、マリンの人化を見たのは初めてだったので、特に村の女の子たちが、わきゃわきゃと集まって、どこかに連れていかれた。
本人も楽しそうだったから、放っておくことにする。
村の門を出て、水堀を越えたところに並んで建っているログハウスは、何軒かは解体されて、村の中で再利用(ボドルやコントルの家等)している。
今、残っているのは3軒だけだ。
ほとんど使わないけれど、マグノリアさん(ザックスのお母さん)や孤児院の年長組の女の子たちが、たまに掃除をしてくれているらしい。
私はタブレットを片手に、周辺を見渡す。
以前は荒地だったのに、今では防風林の針葉樹に囲まれて、地面にも草が生えている。さすがに、この場所に綺麗な花を植えたりする余裕はなかったけれど、ガーデニングに力を入れてもいいかもしれない。
「では、まずは『収納』っと」
私は目の前の3軒のログハウスを『収納』する。室内にあったものも込みなので、『収納』されている物のリストには、ベッドや家具類も並んでいる。
この中で建物だけを『分解』して、すべて素材に戻してしまう。
「すげぇ……」
「あっという間に消えた」
私の作業が気になるのか、ザックスとマークがついてきている。私がタブレットを使っている姿なんて、何度も見ている気がしたんだけど、何度見ても不思議なんだろう。
「凄いだろ」
なぜか、ノワールがシンジュの背中に乗ったまま、鼻高々に自慢している。
「さて、今回建てるのは……これかなぁ」
私が『タテルクン』のメニューで選んだのは、
〇ログハウス(大) 2階建て 風呂・トイレ・暖炉付き
私の住んでいるログハウスは1階のリビングと2階の2部屋だけど、これから建てるのは、1階がリビングに1部屋、2階は3部屋あるのだ。
ちなみに3階建てもメニューにはあるけど、村の建物の中で一番大きくなるので、やめておいた。
村へ向かう道を間に挟んで、大きなログハウスを2つ並べて建てる。並んでいるせいか、なかなかの迫力だ。その隣に、村人たちの家と同じタイプのログハウスを1軒ずつ建てた。
材料は元のログハウスだけでは当然足りない。ちゃんと、用意しておいてよかった。
今回はキャサリンの家だけだと聞いているから、前回のような大人数ではないはずだ。
「これだけあれば、大丈夫でしょ」
「……十分すぎると思います」
「これで文句言ってくるんだったら、エイデン様に頼んで追い出してもらえばいいよ」
「いやいや、そういうわけにはいかんでしょ」
冗談にならない話をしてくる二人。
「俺から、エイデン様に伝えておくぞ?」
コテリと首を傾げて見せるノワールだけど、余計なことは言わなくていい。
これで足りなかったら、この敷地で野営でもしてくれ、と思う私であった。





