第637話 暑さ対策いろいろ
ホームセンターの中に入ったとたん、一気にひんやりした空気に包まれる。
「はー。涼しい」
思わず声に出してしまうくらい、外の暑さは尋常じゃない。建物に入るまでの短い時間で額に汗が滲んでいた。
店に入ってすぐに目につくところに置いてあったのは、この暑さにはタイムリーな水色一色な冷感マットや冷感枕。しかし、今の私は、水色ではなく緑が欲しい。
私は店内でい草関連の物が置かれている場所を探して、ウロウロする。
「あった!」
い草の座布団に、枕。それに茣蓙もある。その中に、まさかの大きな畳まで展示されていて、ホームセンターなのに畳の張替えまでやっていた。
さすがに大きな畳はなぁ、と思っていると、『置き畳』なるものを発見。サイズは色々あるけれど、私が気になったのは85cm×85cmの物。
――茣蓙よりも『置き畳』のほうが、よさそう。
手に取ってみると、そこそこの重量感はあるけれど私でも持てなくはない。値段は当然『置き畳』のほうがするけれど、茣蓙よりも品がある気がする。
結局、い草の座布団を10枚と『置き畳』を4枚買うことにした。カートに載りきらないので、店員さんがレジのほうで預かってくれるというのでお願いして、他にも何かないかとホームセンターの中をうろつくことにした。
時期が時期だけに、暑さ対策グッズが沢山並んでいる。
「へぇ。充電式のハンディファンなんかあるんだ」
実はあちらの山の中での作業は、心地いい風が木々の間を抜けるので凌ぎやすかったりする。しかし、立ち枯れの拠点での畑仕事の時には、直射日光だったり、地面からの反射熱のせいなのか、風が吹いてもムワッとしてけっこう暑い。
そういう時は風の精霊にひんやりした風を送ってもらうんだけれど、それをやってくれるのは私にだけみたいで、村の方の畑で作業している獣人たちは大変そうなのだ。
ギャジー翁の扇風機をお願いしていることもある。ハンディファンの風がどれだけ涼しく感じるかはわからないけれど、試しに2台買ってみることにした。1台は自分用、もう1台はギャジー翁用だ。
一瞬、分解大好きモリーナの顔が頭に浮かぶ。
――モリーナだとヤバそうだけど、ギャジー翁なら大丈夫でしょ。
ギャジー翁なら、分解してもちゃんと使えるように組み立てなおせるに違いない。
できるなら、大きめな扇風機(サーキュレーター?)を作ってもらって、ドッグランに置いてホワイトウルフたちを涼ませてあげたい。夏毛になっても、あのモフモフ具合は暑そうなのだ。
そういえば、最近は暑くなったこともあって、ドッグランの脇の水浴び場に、子供たちも遊びに来ていたりする。
村の裏手、ユグドラシルの足元の大きな池は深さがあるので危ないので、水遊びをするなら水浴び場にするように言ったら、さっそく、皆で遊びに来ている。
水浴び場を作った時点ではホワイトウルフのことしか考えてなかったから、その周りはすぐに地面で、濡れた子供たちの足元は泥だらけになっているのだ。
大きめなすのこでも地面に敷いてあげれば、少しはマシかもしれないと、すのこを探す。
――この程度だったら、向こうでも作れるよね。
最近、すっかり物づくりはドワーフたちにお任せしているけれど、自分で作るのもありかもしれないし、孤児院の年長組の子でも作れそうな気がしてきた。
ここでもサンプルになるような小さいサイズのすのこをカートに入れると、他に何かないかと、フロアの中を進む私であった。





