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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
エイデン温泉(仮)三昧の夏

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第626話 お祭り騒ぎのその後で

 三人の出産は、予想してた以上に安産だった。

 前回は、コントルとケイトの息子、ボビーくんが危うかったけれど、今回はそんなことはなかった。

 ハノエさんのところは男の子で、ネドリやガズゥと同じ白銀の毛をもった子。ネドリのほうの血筋が強く出ているようだ。名前は『ゲッシュ』。

 テオママのところは女の子で『ターナ』、マルママのところは、なんと双子の男の子で『ミコル』と『モコル』。毛色はそれぞれの親と同じ黒毛だ。

 赤ん坊が無事に生まれたことで村人たちも大喜びだったが、それ以上に喜んだのが精霊たち。どの精霊が誰に加護を与えるかで大盛り上がり。

 特に、風の精霊たちの噂話を聞きつけた風の精霊王までやってきたものだから、土の精霊王ともめること、もめること。ここに火、水、光の精霊王が加わっていていなくてよかった(遠い目)。

 ちなみに火の精霊王は温泉のある火山に、水の精霊王は南のほうにある大きな湖に、光の精霊王は……特定の場所にはいないらしい。

 結果、ガズゥの弟の『ゲッシュ』には風の精霊王の加護、テオの妹の『ターナ』は土の精霊王の加護、マルの弟たち『ミコル』『モコル』は火の精霊の加護を貰うことになった。

 だったらガズゥたちは、と思ったんだけど……なんか、いつの間にか『聖女の加護』がついているそうで、精霊の加護がつけることが出来ないらしい。それも『精霊王の加護』よりも強力だから大丈夫だ、と二人の精霊王から笑顔で言われた。


 ――『聖女の加護』って何……(遠い目)


 色々と思うところはあるけれど、ガズゥたちにも何かしらがついているんだったらいいか、と思うことにした。スルーするって、大事。


 村でのお祭り騒ぎは一週間ほど続き、ようやく落ち着いたな、と思った頃。

 ログハウスで午前中の一仕事を終えた後、私は立ち枯れの拠点の畑で夏野菜(トマト・ナス・ピーマン・キュウリ・枝豆)を収穫していた。

 土の精霊たちのおかげもあって、どれも大きく実っているけれど、中でもトマトは私の掌いっぱいの大きさで、艶々で真っ赤になっている。味も当然、美味しい。

 これを使って、ミートソースやトマトソースをたくさん作ろうかなと思っているところに、ガズゥがネドリと一緒にやってきた。


「お、こんにちは。トマト食べる?」

「ありがとうございます」

「いただきます」


 二人はにっこりと笑ってトマトを受け取り、ガジリとトマトに齧りついた。


「!」

「甘いっ!」


 あっという間にトマトのヘタの部分だけ残して食べきってしまった。その様子に気をよくした私は、もう1個ずつ渡す。ガズゥは嬉しそうに齧りついたが、ネドリは受け取るだけ受け取って、真面目な顔になった。


「サツキ様」

「どうかしたの?」

「実は、しばらく村を離れることになりました」

「え?」


 正直、ネドリは山の狩りやダンジョン攻略、獣王国の街への買い出しなど、村にいる時間は多くはないのは、私でも知っている。それでも長くて1週間くらいで戻ってきているとハノエさんからは聞いていた。

 その程度の期間だったら、私にわざわざ声をかけてくることでもない。

 それに、まだ赤ちゃんが生まれたばかりだというのに、そんな不安な状況でハノエさんたちを残してどこへ行くというのだ。


「しばらくって、どれくらい?」

「……短くて半年、長いと……いつになるか、わかりません」

「何それ」

「そして、今回はガズゥも連れて行きます」

「えっ!?」


 私は思わず大きな声をあげてしまった。



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よろしくお願いします。<(_ _)>


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