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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
山での生活、冬ごもりに備えて

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第65話 この冬にやりたいこと

 興味のあったこと。


 ――それは手芸のたぐいだ。


 学生の頃、フェルトを使った人形を作ったことがある。あまり上手くはなかったけど。マフラーなんかも父のために編んだことがある。母は『あんたは、不器用ね』なんて呆れたように言ってたけれど、父は嬉しそうに首に巻いてくれたのを覚えている。でも、それ以来、手芸に手を出したことがなかった。あっても、せいぜい、ボタン付けや、裾などのほつれたところを縫うくらいだろう。

 母に言われなくても、自分が不器用な自覚はあった。今でこそ、タブレットがあるから、柵やドアみたいなものだって作れたけれど、無かったら、まともなものを作れたとは思えない。こんな私が山暮らし(いや、異世界暮らし?)出来てるのが、不思議といえば不思議かもしれない。


「いいのよ、下手でも。どうせ、あの家には私しかいないし。人に見せる物でもないし」


 しかし、今のログハウスにあるのは、小さな裁縫セットくらい。それこそ、ボタン付けができるくらいしか、使い道のないものだ。


 ――この冬は、手芸三昧してみようか。


 パッチワークで布団カバーとか作ってみたいな。

 カーテンとか、ラグとかも手作りできないかな。

 ああ、カーテンレール、サイズ測るの忘れてた!


 色々考えてたら、思いつくことが増えていく。

 このスーパーは、食料品しかないから、またホームセンターに戻る必要がある。面倒だけど、これが最後だと思えば、やっぱり、買いだめしておかないと。


「あ、それに、あの子たちのブラッシングもしてみたかったんだ」


 すっかりうちの敷地にいついているホワイトウルフの子供たち。親たちは相変わらず顔を出すことはないけれど、近くにはいるんだろう。

 野生の生き物だから、若干、薄汚れているのは仕方がないし、風呂にいれてやりたいけれど、いうことを聞いてくれるか、どうか。

 なので、犬用のブラシも買わなくては!


「やだな~、色々思いついちゃうんだもんな~」


 冬の間にやれそうなことが増えて、楽しくなってきた。

 そんなことを考えながら食料品の棚を巡っていく。バターや油、醤油、味噌、それにハム、缶詰など、長期保存が利きそうなのを見つけると、どんどんカートに入れていく。念のための非常食にレトルトやカップラーメンも忘れない。


「それに~、お酒もだよね~」


 けして料理酒ではない。今までも、気が向いたときに缶チューハイなんかを飲んではいた。それでも、食事をして風呂に入ったら、ストンっと寝てしまうことが多かったから、それほどの量ではない。


「あ、果実酒みたいなの、作るのもアリだよね」


 まさにスローライフな生活の、一部って感じがする。


「後は何が必要かな~♪」


 期待が膨らんだ私は、大きなカートを押しながら、スーパーの食料品の棚を見ていたら、久々にスマホに電話の着信があった。

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