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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
エイデン温泉(仮)三昧の夏

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第620話 馬車とエイデンのおねだり

 他にもチマチマ追加や変更されていることがあった。

 まずはベッド。前回見た段階では一人用しかなかったのだけれど、今回は二段ベッドになっている。


「あれ、もしかして収納式?」

「ええ、そうです。両方とも壁側に折って収納できるようにしたんでさ」


 幅と長さが少し広くなって、たぶん人型のエイデンでも横に慣れる大きさになっている(これはエイデンリクエストか?)。

 下のベッドだけ出せば、そこはソファのように使えそうだ。

 ヘンリックさんが、座席の背もたれを倒して、後部の方へと移動した。


「スカートの女性には向かないかもしれませんが、サツキ様でしたら大丈夫でございましょ?」


 確かに、ジーパン姿の多い私には関係ない。うちの村の女性たちもあまり気にしなさそうだけど、キャサリンのような貴族の女性は厳しそうだ。

 私はヘンリックさんの後をついて移動してみる。


「キッチンスペースが広くなってますね。あ、小型冷蔵庫まで」


 広さでいえば魔道コンロ2台に、大きめなまな板も置けそう。

 ふと、座席の上部に目がいった。気付いていなかったけれど、上部になんとロフトがあった。


「ああ、あそこには荷物を置いてもいいし、人が寝ても大丈夫になってまさぁ」

「スゴイわね」


 これだったら、3,4人で旅行に行っても、テントを張らずに馬車で寝起きができる。天候が悪い時も気にしなくて済みそうだ。


「へへへ。あれからエイデン様からも話を聞きまして」

「エイデン?」


 強引に連れ去られた先で、色々と話をしたらしい。


「おっと、こっから先はご本人から聞いてくだせぇ」


 ヘンリックさんは慌てて後部のドアを開けて外に出て行った。


 ――後部のドア側からって、どう見えるんだろう。


 気になった私は、ヘンリックさんの後をついていこうとしたのだけれど。


「五月」

「へあっ!?」


 いきなり、座席のほうからエイデンの声が聞こえて振り向くと、外からエイデンがにっこり笑いながら覗き込んでいた。


「どうだ。中のほうは」

「凄いね。エイデンのお陰だってヘンリックさんが言ってたよ。さすがだね」

「フフフン、まあな」

「これだったら、長旅にも使えそう」


 この馬車の振動についてはまだ確認はしていないけれど、居住空間としては十分だと思う。


「よし、じゃあ、試しにちょっと出かけてみないか?」

「どこに?」


 近場だったらケイドンの街が思い浮かんだ。あの街まで、この馬車の試乗をしてみるのもいいかもしれない。


「温泉のあるところだ」

「は?」

「この前、アースが来ただろう? あいつに色々聞いたのだ。五月の生まれたところの温泉のあるところっていうのがどんななのか」

「え、でも、あの時言ったよね。ハノエさんたちの出産がまだだからって」

「わかっている。実は今、まだ温泉の周辺は、まだちゃんとしてはいないのだ」

「もしかして、この前ヘンリックさんたちを連れて行ったのって」

「奴らに、建物やら何やらを建ててもらったのだ」


 さっきのヘンリックさんの様子は、このことがあったからか。


「無理やりやらせたんじゃ」

「そんなことはせん! ちゃんと報酬も渡している!」

「何を渡したのよ」

「それは、奴らが喜ぶものに決まっておる!」

「エイデンの秘蔵の酒とか」

「そんなもんではない。ドワーフと言ったら金属や鉱石だろう」


 ……アダマンタイトとか大喜びしているドワーフたちの姿が目に浮かぶ。


「と、とにかく、一度、五月に見てほしいのだ。それで、直しが必要なら、五月の好きにしていいから」


 そう言われると、気になってきてしまうわけで。


「俺が運べば2時間ほどだし、この馬車だったら、五月も横になってゆっくりできるだろう?」


 確かに軽トラや軽自動車の座席に座っているよりは、楽そうではある。


「せっかくだから、ガズゥたちも連れてってやってもいい」

「孤児院の女の子とかも?」

「ああ、かまわない! かまわない!」


 エイデンの必死さ加減に、思わず苦笑い。

 結局、子供たちを連れて、日帰り温泉に行くことになったのであった。


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よろしくお願いいたします。

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