表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
異世界のGWと元魔王の誕生

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

671/976

第592話 エイデンから温泉に誘われる

 エイデンの皿を受け取ると、そのままログハウスの中へと入っていく。

 玄関先で立ったままエイデンは話を続ける。


「温泉、行きたくないか?」

「え、何、唐突に」

「うむ、ビャクヤが見つけたと言っててだな」


 温泉、というパワーワードに、心が揺れないわけがない。

 一応あちら側にも、キャンプ場の最寄りに温泉はあるにはある。所謂、スーパー銭湯的な温泉だ(本当にたまにだけど、あちらに買い出しに行った時に立ち寄ったりすることもある)。

 でも、『温泉』と言い切るなら、できるなら露天風呂とか、伝統的な温泉場とかのほうがいいな、と思う。贅沢かもしれないけど。


「ビャクヤが見つけたってことは、そこに温泉宿みたいなのは……ないよねぇ」

「や、宿か。う、うむ、そうだな(確か、人っ子一人いない、岩だらけの場所だったな)」


 気にはなる。

 でも、私のイメージとして『温泉』って言ったら、お風呂もそうだけど、美味しい食べ物を食べて、のんびりできるところってイメージ。

 でも、ビャクヤが見つけてきたってくらいだし、きっと何もないところだろう。恐らく、源泉を見つけたって感じだろうか。


 ――いわゆる、秘湯か。


 食べ物は仕方がないとはいえ、考えようによっては、アリだな。

 建物とかは自前でなんとかなるけど、湯舟は……これも『ヒロゲルクン』でなんとかなるだろう。できれば自力で往復できたらいいんだけど。

 皿を洗いながら、エイデンに聞く。


「それって、どれくらい遠いのかな」

「お、おう! 俺が運べば2時間くらいかな」

「……けっこう遠いのね」


 エイデンは嬉しそうに答えたけれど、予想よりもだいぶ遠い。気軽に温泉に行ってくるって感じの距離じゃない気がする。


「行ってみたい気はするけど……今すぐじゃないよね? 今はほら、大地くんが来たばっかりだし、それにハノエさんたちの出産もそろそろじゃない?」

「あ、う、うーん」

「それに、『魔王の卵』も心配だし」


 暖炉の前の猫ベッドでは『魔王の卵』を抱えて毛繕いしているマリン。

 肝心の『魔王の卵』がいつ孵るのか予想がつかないので、正直あまり家から長期間は離れたくはない。


「う、うむ。だったらハノエたちの赤ん坊が生まれた後ならどうだ」

「いや、うーん」

「マリンも『魔王の卵』も一緒に連れて行けばよかろう?」

『なーに? 私がどうしたって?』

「マリン、温泉って知ってる?」

『おんせん?』

「そう、地面から湧きだす熱いお湯のこと」

『へー、そんなのがあるんだ』

「それでお風呂に入るのよ」


 お風呂と聞いて、マリンがちょっとだけ嫌そうな顔をした。彼女は、あんまりお風呂は好きではないのだ。


『お風呂だったら、いいわ。私はお留守番してる。この子のこともあるしね』


 ぺろぺろと卵を舐めている。

 すっかりパールのような虹色の艶さえ出てきている『魔王の卵』。すでに『魔王』ではなく『天使』の卵みたいになっている。


「マ、マリン!」

「エイデン、悪いけど、この卵が孵るまでは、温泉はお預けかな」

「む、わ、わかった。でも、温泉には行くんだろ?」

「そうねぇ。行ってみたいとは思ってるかな」

「よし! 約束だぞ。絶対、行くからな」

「う、うん」


 エイデンの気合の入った言葉に圧されて、頷いてしまったのであった。


        *   *   *   *   * 


 エイデンはログハウスの敷地からの去り際、鋭い眼差しでログハウスの中の『魔王の卵』に向かって念じた。


「(おい、『魔王の卵』、さっさと出てこい。出てこないと、マリンから取り上げて食ってしまうぞ)」


 その言葉が届いたのか、マリンの腕の中の卵がぶるりと震えた。



             + + + + + + + +


大人げないエイデンですみません。<(_ _)>


活動報告更新しています。

『山、買いました』キャラデザ紹介(2)

https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/695723/blogkey/3236505/


ご覧になってみてください (^^)/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ