表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
異世界のGWと元魔王の誕生

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

665/979

第586話 稲荷さんも怒るんです

 かなりお疲れ気味の稲荷さんではあったものの、さすがに奥さんたちのことを放置というわけにもいかないからと、一緒に村に行ってもらうことになった。

 徐々にお客さんが増えてきているみたいで、受付の方がバタついているのを見ると、申し訳ない気にもなる。


「オ、オーナー……」

「すぐ、戻る、すぐ戻るから」


 そう答えてた稲荷さんだったけど、スタッフの足立さんは泣きそうな顔になってた。


 ――稲荷さん、信用ないんだな……。


 そんな足立さんの背後にいたおばあさんが、彼の肩を叩いて慰めてたから大丈夫……だと思う。




 トンネルを抜け、ログハウスの敷地も抜け、そのまま桜並木の道を軽自動車で下っていく。

 いつもなら軽自動車からスーパーカブに乗り換えて村の裏から入るけど、今日はそんな時間も勿体ない。それに後ろには稲荷さんの軽トラが続いているのだ。

 ちなみに、そちらの軽トラには樽酒が3つほど載っている。村への迷惑料ってことなのかもしれないけど、キャンプ場に置いてあったの? とちょっとばかり不思議に思う。

 山道を下りきったところで門を開けて、牛乳を運ぶ荷車用に作った道に入っていく。車だとすぐだ。ぐるりと村を囲む石塀が見えてくる。

 荷車用の道は、南側の畑用の出入り口の門に繋がっているので、そこに向かうことにする。

 車のエンジン音が聞こえたのか、南側の出入り口から顔を覗かせる獣人が数人、皆驚いた顔をしている。その中にはオクタさん(オババの甥)もいたので、近くまでいってから車を停めて、ぺこりと頭を下げた。


「ネドリは?」


 車の窓を開けて声をかける。


「今、エルフの人達の相手してますよ」

「ありがと!」


 私は軽自動車から降りると、後ろについてきていた稲荷さんに声をかけた。


「稲荷さん、ここから村に入ります。車、どうします?」


 軽トラから降りてきた稲荷さんの手には私のと同じタブレット。


「当然、『収納』しておきますよねぇ」

「はい」


 ニッコリ笑う稲荷さんに、私も笑みを返す。

 ほぼ同時に軽自動車と軽トラが消えたのを見て、獣人たちは「おお~」という歓声があがる。何度か私の『収納』を見てるとは思うんだけど、やっぱり、不思議な感じなんだろう。

 私たちは村の中に入ると足早にまっすぐ正面の門へと向かう。

 獣人の門番に門を開けてもらい、私と稲荷さんが外に出ると、そこには大きな馬車が三台(前に王太子一行が来た時に見たような豪華なのが一台と、普通の幌馬車のようなのが二台)並んでいた。

 そして、道端で美しいエルフの女性が二人、華奢な白いテーブルを挟んでネドリとお茶をしていた。

 売店と教会に挟まれた道で、である。違和感しかない。

 

「レイティア!」


 私の後から来たはずの稲荷さんが、大きな声で奥さんの名前を呼びながら駆け寄っていく。


「あなた!」


 ガタリと椅子から立ち上がった笑顔の美女。彼女が稲荷さんの奥さんなのか、と思ったら、なんかズルいと思ってしまった。

 ここでお互いに抱きしめあったら、ドラマチックなのかもしれないけれど、ただのおっさんの稲荷さんじゃ、絵面が残念かも、なーんて思ってたら。


 バチコーンッ


「痛ーいっ!」


 稲荷さん、 抱きしめることなく、思い切り奥さんの額にデコピンをくらわせてた。


「なーに、勝手に家を出てるんだよっ!」


 ……稲荷さん、実はけっこう怒ってたっぽい、です。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ