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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
異世界のGWと元魔王の誕生

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第584話 稲荷さんも色々と大変(1)

 大地くんと一緒に帰った稲荷さんの姿は忘れられない。思い出しただけで吹き出しそうになったけど、なんとか我慢する。

 そういえば、そろそろゴールデンウィークの時期だ。大地くんがまた来ると言っていた時期と重なる。


 ――もしかして、本当に家出してきたりして……。


 あれ以来、買い出しでもキャンプ場に立ち寄っていなかったので(立ち寄る用事もなかったから)、そういえば稲荷さんと話をしてなかった。物凄く不安だ。


「あ、あのぉ、念のため確認なんですけど」

「なんでしょう」

「えーと、一応、旦那さんはご存知なんですよね?」

「……たぶん?」

「……えぇぇぇぇぇ」


 コテンっと首を傾げても、おっさんエルフじゃ可愛くないから。

 

 ――まぁ、そうは言っても腐っても神様だし、きっと知っているはず……って、知ってたら教えに来てくれてもよくないっ?!


 私は大きくため息をつく。


「あー。とりあえず、稲荷さんに確認とってくるんで、それまでは門の前で待っててください」

「え、あ、それは困っ……」

「待っててください」

『まってろー』

『まってろろー』

「は、はひっ」


 下から睨みつけるようにそう言う私。精霊たちも声を揃えて言うものだから、レディウムスさんもかなりビビって腰が引けている。

 少なくとも稲荷さんの奥さんなわけで、そんなに悪い人ではない……と思いたい。


「はー、まったく。参ったなぁ……あ、ネドリ」

「はい」


 さすがにそのまま門の前に放置というわけにもいかないだろうから、ネドリたちに対応を任せて、大急ぎであちらに向かうことにした。




 軽自動車でキャンプ場に着いてみると、駐車場は車でいっぱい。

 まだゴールデンウィーク前なのに、なんでこんなに混んでるのだろう、と不思議に思いながら、隅の方が空いていたのでそこに車を停めると、事務所の方へと向かう。

 事務所の中は受付待ちの人が何人かいて、ちょっと声がかけづらい感じだ。どうしようか、と思っていると、待っている女の人達の楽しそうな話し声が聞こえてきた。

 その話を要約してみると、なんでもこのキャンプ場、去年の秋頃、ドラマの撮影現場になってたらしい。知らなかった。それが今放送されているそうで、所謂聖地巡礼になっているそうだ。よく見れば女性比率が高い。


 ――うわぁ。そりゃぁ、忙しくもなるか。


 受付には稲荷さんの姿は見えない。奥にいるのかな、と首を伸ばしていると、受付にいた男の子の一人と目があった。見覚えのある顔の男の子は正式にスタッフになった子だ。ぺこりと頭を下げると、向こうも頭を下げて、奥のほうに「オーナー!」と声をかけてくれた。

 不機嫌そうな顔色の悪い稲荷さんが顔だけ出した。


「何?」

「あの、望月様です」


 なんと。すっかりスタッフくん(名札には『足立』と書いてある)は私の名前を覚えていた。


「……ああ! 望月様っ!」


 意外に思って驚いていると、私と目があった稲荷さんが、大きな声をあげてカウンターから出てくると、私の腕をとって事務所の中へと引っ張りこんだ。


「ちょ、ちょっと、落ち着いてくださいよ」

「ああ、すみません。しかし、こうしていらしたってことは」

「あー、はい。奥さんと娘さん? うちの村にいらしてるんですけど」

「はぁ……。ご迷惑をおかけしてすみません」


 神様なのに、ペコペコと謝る稲荷さん。

 話を聞くところによると、キャンプ場以外でも何やら色々トラブルが起きていたそうで……。


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