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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
新しい命にあふれる春

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第581話 『地獄の番犬』とランドのこと

 大量の魔物を『収納』して村に戻った私たちに、村中は大盛り上がり。

 特にオババは、ゲレベロウスを見て予想通りに小躍りしていて、確かにこれは忘れられない(遠い目)、と私も思った。

 オババ以外にも、ドワーフたちやモリーナとアビーも喜んでいた。角ウサギの角だったり、ガンズたちが狩ってきた鹿ビッグフォーンデアというらしいの角や皮が、色んな道具に変わるらしい。 

 大量の魔物の解体作業は村人たちに任せて、私はガンズの奥さんのコリンナさんに、ガンズさんたちが獣王国の街に寄ってから戻るという話をするために声をかけた。


「『地獄の番犬』ですか」


 パーティ名を聞いて、コリンナさんは渋い顔になる。

 元々ケセラノの街の冒険者ギルドで仕事をしていたコリンナさんだけに、冒険者パーティの情報にも詳しいらしい。

 そんなに厄介なパーティなのか、と思って話を聞いてみると、若手パーティでは実力派で成長株と言われているものの、猪突猛進系で危なっかしいらしい。そんな中に兎獣人のニコラが含まれていることに違和感を覚える。


「ああ、そういえば兎獣人の子がいましたね」

「すごい小柄な子だったんだけど、大丈夫なのかしら」

「小柄と言っても、兎獣人としては平均だと思いますよ。それに、彼女もそこそこのランクになってたはず」

「確かDランクって言ってたわ」

「ですよね。たぶん、パーティでの実績が加味されてるとは思いますけど(無理に上げさせたのかしら)」


 人族のランドのことも聞いてみたけれど、コリンナがいた時にはいなかったらしく、記憶にはないらしい。


「でも、あの街で人族の子供が冒険者をやっていくのは大変だと思いますよ」


 街の中の依頼であれば、人族でもこなせるモノもあるけれど、身体能力的に厳しいらしく、外の依頼を受けても魔物が強くて続かない、か、戻って来れないなんてこともあるらしい。

 それで兎獣人のニコラが一緒にいたのか、と思うと、彼女がいないときは大丈夫なんだろうか、と余計に心配になってくる。


「ガンズが一緒に行ってるんだったら、それなりに考えてくれるとは思いますよ。彼もあの街のことはわかってると思いますから」


 ニコニコしながら話すコリンナの様子に、少しホッとした。

 その後、山で汲んできた炭酸水をお披露目して、ドワーフたちが我先にとお酒をソーダ割りにしようとしたり、解体した魔物の肉をどんどん焼いて、焼肉パーティになったりと、村のいつも通りの風景が繰り広げられたのはいうまでもない。

 

        *   *   *   *   *


 精霊たちは賑やかな村の様子を眺めながら、ふよふよと漂っている。


『おやおや~』

『コリンナのおなかのなかにも、あたらしいいのちがふたつ~』

『どんどんにぎやかになるねぇ』

『そういえば、ひとのこには、ひかりのせいれいがひとりついてったね』

『きにいったんだろ?』

『きになったんじゃない?』

『まぁ、なんにせよ、くるね』

『くるよね』

『こさせるんじゃない?』


 精霊たちの楽しそうなおしゃべりは止まらない。


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