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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
新しい命にあふれる春

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第579話 ニコラとランド(2)

 同い年か年下くらいの子供たちが平然としているおかげか、ニコラとランドは少し肩の力が抜けたようだ。

 落ち着いたところで、彼らの話を聞いてみると、二人はケセラノという獣王国の街の同じ孤児院出身なのだそうだ。

 ニコラはすでに冒険者ランクはD。思った以上にニコラはランクが高かった(うちの村のドゴル(16歳)と同じ)。なんでも、ニコラは既に孤児院出身の冒険者たちのパーティに入れてもらっているのだとか。

 一方のランドはF。登録して間もないのだそうだ。

 今回は次の依頼までの間の休みということもあって、弟分のランドの依頼の手伝いをしていたらしい。


「まさか、あんな場所に大型の魔物を連れて逃げてくる奴らがいるなんて思わなくて」


 ビャクヤたちの目の前に横たわっているゲレベロウスの死体を見て、ぶるりと身体を震わせる。

 初心者の弟分もいる状況にパニックになって逃げる途中で転んでしまったらしい。

 その時、たまたまビャクヤたちに見つかり、結果的に助けられたわけだ。ラッキーとしか言えない。


「ビャクヤ、ここからケセラノって街って、どれくらいの距離かな」

『私の足だったら、日が落ちる前には着くかもしれないが』

「しれないが?」

『ゲレベロウスのせいで魔物が街に向かっていたので、私たちまで行ったら、冒険者たちが襲ってくるんじゃないかと』

「え」


 言われてみれば、ニコラたちがいた方に向かってきたそうだし、ビャクヤたちが全部を倒してきたわけでもないらしい。討ち漏らしたのがそのまま街のほうに行っている可能性はあるし、ウッドフェンスにぶつかってきた小物の魔物のように、街に向かっていった魔物もいたかもしれない。

 そんな中、巨大なホワイトウルフが何頭も現われたら、討伐対象とか思われるかもしれない。 もし、ビャクヤたちが襲われたら、怖すぎる。ビャクヤたちが負けるとは思わないけど。


「(お姉さんは誰と話してるの)」

「(あの一番大きなホワイトウルフだよ)」

「(え! ホワイトウルフとおしゃべりできるの!?)」

「(サツキ様だからね)」


 なにやら子供たちの間でこそこそと話をしているようだけれど、それよりも、どうやって彼らを帰してあげればいいだろうか。

 

 ――そういえば、ガンズたちがもう少ししたら来るって言ってたっけ。


 彼らだったら、無事に二人を連れて行ってくれるかもしれないと思った私は、山のほうに目を向ける。


『……ガンズたちですか』

「ええ。彼らだったら二人を任せられるかなって」

『なるほど……お。何やら、大物を担いでやってきているようですね』


 ビャクヤの嬉しそうな声に、私は目をこらして探してみるけど、全然わからない。


「あ、ガンズ兄さんたちだ」


 ガズゥたちのほうが気付いたようで、山のほうに走っていく。

 少し待っているうちに、巨大な鹿らしき魔物を担いでいるガンズと、それを守るように囲んでいるホワイトウルフたちの姿が見えだした。


「……よくまぁ、あんなの担いでこれたもんだわ」


 呆れて見ているうちに、山を下りきったガンズと目があった。


「お疲れ~。凄いわね」

「もう一頭いますよ」


 ニカリと笑ったガンズの後ろから、ネシアとネーレ、二人がかりで一回り小さい魔物を担いで現われた。(ちなみにアレシュくんは荷物持ちになっていた)

 ドスン、ドスンっと地面に置かれた鹿の魔物。


「いやぁ、重かった、重かった」

「ホワイトウルフたちが来てくれて助かったわ」


 肩を回しながら笑うネシアとネーレ。


「サツキ様も来てるって聞いて、ネシアとネーレが張り切っちゃって」


 苦笑いしながら説明をしているアレシュくん。

 ガンズも何も言わないものの、似たように苦笑いしていたが、ニコラとランドの存在に気が付いたのか、一気に冷ややかな目つきに変わる。


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