表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
新しい命にあふれる春

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

640/981

第568話 水田作り<まずは草刈り>

 ドッグランの南側には、以前はポツポツと痩せた木々が生えていた林と、その先には荒れた土地と大きな川が流れていた。

 今ではログハウスの池から排水口を伝って流れている水のおかげで、木々も太くなり、荒地だったところは、小川を中心にたくさんの草が生えている。

 最近は以前エイデンに作ってもらった土手のあたりまで水が到達したようで、ちょっとした湿地になってしまっていた。

 

「さーて、ここに水田作りますかねー」


 気合を入れるように声をあげて、私は久しぶりに草刈り機を振り回している。

 何せ、今はまだ、ここは私の土地に含まれていないので、自力でやるしかないのだ。ここをクリアすれば『ヒロゲルクン』のメニューに追加されていた『水田』が利用できる。

 本当はママ軍団に話していたこともあって、彼女たちにお願いしたかったけれど、妊婦さんには無理な仕事だし、彼女たちもそろそろカウントダウンだと思うのだ。


 ウィーン


 静かな草原で草刈り機の音だけが響く。時折吹いてくる風が心地いい。

 草刈りをする範囲は、林の際のところから土手の際まで。距離にして500メートルくらいだろうか。横幅も同じくらいの距離で考えている。

 ちなみに林の中では数匹のホワイトウルフたちが昼寝しながら、私のことを見守っているのが見える。


 ――子供じゃないのに。


 そう思ってクスリと笑う。

 最近は変な冒険者や魔物の姿を見かけたという話も聞かないし、私自身も見ないので、それほど気にしなくてもいいんじゃないかな、と思っていたりする。

 特に、おしゃべりな精霊たちの会話を聞いている限り、この土地にちょっかいをだそうという勇気のある者はいないようだ。

 土手の近くまで刈り取ってから、再び林のほうへとUターンする。それを何度か繰り返すうちに、お腹がすいてきた。そろそろお昼にしてもいいかもしれない。


「サツキ様~!」

「おてつだいありますか~!」


  首から下げたタオルで汗を拭っていると、マカレナとブルノ、それにケセケト村からやってきたヨシヒトさんのところの子供たち二人、合計4人が声をかけてきた。

 ヨシヒトさんのところは年子だそうで、ラオくんとトコちゃんという名前だそうだ。年齢的にはマカレナと同い年くらいだろう。


「やほー。そうだなぁ」


 マカレナたちのほうに向かって歩きながら考える。

 ホワイトウルフたちの頭を撫でている子供たちのところまで来てから、マカレナに声をかけた。


「ああ、そうだ。草刈りの草、牛たちの餌にしてもらえる?」

「え、草……ってどこに?」


 マカレナたちは不思議そうに周りを見渡しているけれど、地面には刈り取った草は残っていない。

 

 ――あ、そうか。自動で『収納』されちゃうんだった。


「えーと、『収納』してあるのよ。そうだ。荷車持ってきてくれたら、そこに出すわ」

「わかりました。ちょっとゲハじいちゃんのところに行って借りてきます!」

「あ、急がなくていいよ。これからちょっとお昼休憩するから」

「はーい!」


 元気に返事をしてかけていく4人。


「急がなくていいんだけどなぁ」


 苦笑いしながら見送ると、私はここでお昼ご飯の準備を始めることにした。


            + + + + + + + +


 土手の件は、『第220話 伐採と土手』を参照してください。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ