第520話 お風呂と、これからやりたいことを考える
『カコーン』という音が風呂場に響くイメージがあるので、勝手に脳内で音を再現しながら、ゆったりと湯舟につかっている。
ヒノキのいい香りにつつまれながら、高い天井を見上げる。
「オプション、最高……ふぅ」
あれからすぐに『ログハウス(大)用風呂(ヒノキの風呂)』をオプション付きで設置した。
さすが空間魔法、建物を建てるのとは使うKPの桁が違った(遠い目)。しかし、躊躇なく使えてしまうくらいにKPは溜まっているので、我慢などしなかったおかげで、今、こうして大きなお風呂に入れているわけだ。
湯舟は私が足を伸ばしても余裕だし、他に2,3人入っても大丈夫そう。温泉場にあるちょっとした共同浴場くらいありそうだ。
――これで本当に温泉だったりしたら最高なんだけど。
獣人たちに聞いてみたことがあるが、『温泉』自体聞いたことがないらしい。硫黄の独特なニオイの話をしても、嗅いだことがないそうだ。
あちこち行っているネドリに聞いてみると、帝国の方にそれらしい場所があるとのことだそうだが、私の知っている温泉施設のようなモノはないらしい。
近くに火山でもあればいいんだろうけど、住む側としては不安しかない。仕方がないので、そこは諦めるしかないだろう。
――今でも十分に気持ちいいしね。
温泉成分の入った入浴剤でも十分に、温泉気分にはなっている。
今回のリフォームでは、窓ガラスもギヤンマの羽に変えるつもりだったけれど、変えたのは寝室にしている部屋の小さい窓だけにした。確かに日が入ってきた時に綺麗な色合いにはなるんだけれど、日々生活している部屋がずっとカラフルな感じだと落ち着かなそうだと思ったのだ。
――しっかし、こんなに広がるんだったら、二階の倉庫になっちゃってる部屋も広げられるんじゃない?
ばしゃりと顔を洗いながら、上を見上げる。
二階の部屋は私の寝室と、倉庫部屋(手芸関係の道具や材料で一杯になっている)の2つ。倉庫部屋で作業もできればいいのだけれど、荷物しかおけていないのが実情だ。
ちなみに、空間魔法のおかげでログハウスの外観は何ら変わっていない。KPにはまだまだ余裕があるのだ。やってみてもいいかもしれない。
お風呂からあがり、濡れた髪はドライヤーで乾かす。何気に風の精霊たちもお手伝いしてくれるので、乾くスピードは段違いだ。
本当はこれも魔道具に変えたいところなんだけど、モリーナに任せると見本のドライヤーも壊されるので、春に魔道具職人のギャジー翁に期待している。
もこもこの寝巻に着替えて半纏を羽織ると、キッチンでホットミルクを作る。そこに少しだけ、インスタントコーヒーを加えて、ミルクコーヒーにした。
「はぁ、早く春にならないかなぁ」
暖かくなったらやりたいことがいっぱいあるのだ。
「石畳を伸ばしたいし、ドッグランまでの小道を石の階段にしたいし、そうだ、あそこに屋根をつけるのもいいよね」
そのためにも色々と素材を集めないといけない。特に使えそうな大きな石の在庫はゼロ。この近くで大きな岩が剥き出しの場所ってあるのだろうか。土の精霊にでも聞けば教えてくれるかもしれない。
私はわくわくしながら、コクリとミルクコーヒーを飲んだ。
活動報告で、キャラデザ紹介第二弾を載せました。
ご覧になってみてください。<(_ _)>
https://syosetu.com/userblogmanage/view/blogkey/3189860/





