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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
山での生活、冬ごもりに備えて

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第55話 現実の厳しさを痛感する

 ちょっと『収納』に凹み、畑仕事にやる気が起きなかった私は、久しぶりにあっちの世界に行くことにした。

 そろそろイグノス様からなのか稲荷さんからなのか、振り込みがあるはずなのと……カードの支払いをチェックするために。

 カードの支払い明細は電子明細なので、スマホで確認できるけど、異世界ではネットが見られないし。


「あああ……やっぱり、すごい金額使ってた……」


 いや、亡き祖父母から渡されたお金もあるにはあるんだけど、山買って、車買って、すでに残高がある程度減っている意識はあって。

 その上で、スーパーやホームセンターで諸々カードで買ったら、どんどん減っていくわけで。今まで、こんなにカードを使ったことがないだけに、ショックが大きい。『初期費用』という呪文を唱えても、である。


「それに、まだ色々生活用品買わないと」


 山暮らし始めるにあたり、大型の物は捨ててしまった。テーブルしかり、椅子しかり。だから、未だに床にミニテーブルだ。そのうちDIYで作るのもありかと思うけど……素人の物じゃ、それなりにしかならないしなぁ。

 大型スーパーのフードコートで、スマホを握りしめ、うなだれる私。

 目の前には、長崎ちゃんぽん。久々に食べると、美味しい。美味しいんだが、それよりも現実は厳しいと痛感する。


「……いや、とりあえずATMで現金下ろしたついでに、残高も確認しとこ」


 基本はカード決済をしていたけれど、管理小屋や街道沿いにある農家さんがやってる直売所では現金での支払いになるのだ。気まぐれに、管理小屋の自販機でジュースも買うし。

 ちゃんと稲荷さんの会社から、キッチリ23万円が振り込まれていて、ホッとする。口だけではなかった。


「あの『売却』も、こっちのお金になればいいのに」


 未だにあのキャンプ地周辺から出ていない私。『魔道コンロ』を買うためにお金を貯めておいた方がいいのだろうけれど、すぐに使うことを考えると、日本円の方が現実的というか。


「野菜じゃ、どれだけのお金になるのか、わかんないけど……どうみたって、こっちの野菜よりも立派過ぎるのよね」


 こっちの直売所とかに置かせてもらうとかもアリなんだろうか。


「……まぁ、悩んでも仕方ない」


 まずは、布団を買わないと。いつまでも寝袋というわけにもいかない。むしろ、布団でちゃんと眠りたい。

 今日のメインの買物はお布団に決定。敷き布団に羽毛の掛け布団。これは外せない。あとは、念のために毛布もだ。それぞれ1枚ずつ。どうせ、あの家にお客が来て泊まることもあるまい。


「あとは、カーテンも必要だけど……勢いで来たからサイズ測ってないや……」


 それに、リビングのカーペットみたいなのも必要?


「確実に金が無くなる……」


 すでに冷えてしまった長崎ちゃんぽんを、ぼそぼそと食べながら、現実の厳しさを痛感するのであった。

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