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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
何かと忙しい三度目の冬

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第498話 マグノリア一家の引っ越し

 マグノリアさんとザックスは、オババのポーションとブルーベリージャムのおかげで何とか完治した。

 特にザックスの足のケガは、魔物に噛まれたところが化膿していて、それを中途半端に治したせいで足が動かせなくなっていたんだとか。

 それが元通りになったものだから大号泣。かなり辛かったんだろう。

 そんな二人と幼いフェリシア、この3人をあのままスラム街においておけるわけもなく、うちの村に来ないかと提案すると、即決で街から出ることになった。借金取りが、毎日のようにやってきては脅しつけていたとか。あのドアや壁に残っていた泥の足跡は奴らのモノらしい。

 そりゃぁ、そんな所にはいたくはないだろう。

 ただ、そうは言っても借金のことが心残りだったマグノリアさん。

 借用書を見た司祭が、まさかあの商家が?、と酷く驚いていた。なんでも、かつては堅い商売で有名だったそうだ。

 借金の金額は、私にしたら払えない額ではなかったものの、素直に払うのもバカらしいので、ピエランジェロ司祭とともに問題の商家、もとい、高利貸しのところに行って、お客さんがいるところでクレーマーっぽく、ちょっと脅してみたら、意外にも桁一つ分安くなった。

 客商売は口コミの評判が大事、というのは、世界が違っても同じだよね、と思った私であった。


 借金を返したので、早速村へと帰ることにした私たち。

 高利貸しのところに行っている間に荷造りをしたマグノリアさんたち。荷物が少ないように思ったら、ザックスの斜め掛けのバッグがアイテムバッグなのだとか。亡くなった父親の形見ということで、これだけは最後までとっておいたのだとか。

 軽トラの助手席には司祭とフェリシア、荷台にはマークと、スコルとメリー夫婦、マグノリアとザックスを乗せて村へと戻った。

 できるだけ安全運転で走ってきたけれど、やっぱり舗装されていない道はガタガタ。病み上がりなマグノリアとザックスには身体の負担になったと思われ、休憩を1回いれたものの、村に着くころにはだいぶぐったりしていた。

 そんなマグノリアさん一家には、この前王太子一行がいらした時に使っていた宿舎の一つに一時的に入ってもらった。

 しばらく誰も使っていなかったので、埃っぽいかと思ったら、村人たちが交代で掃除をしてくれていたらしい。


「こ、こんないい家に住まわせていただいてもよろしいので?」

「大丈夫ですよ。というか、住んでもらったほうが、こちらも助かるというか」

「あ、ありがとうございます」


 深々と頭を下げるマグノリアさんに、ザックスとフェリシアが同じように頭を下げた。

 彼らの世話は、メリーさんとともに孤児院の年長組のベシーやリンダたち女子組がみてくれることになった。まだ、さすがに他の獣人たちと交流させるのは難しい気がしたのだ。

 ちなみに、マグノリアさん、私が立て替えたお金は、少しずつでも返したいとのこと。うちの村でお金を稼ぐのは難しいんじゃないか、と思ったんだけど、針仕事が得意とのことだったので、これからベビーラッシュになることを考えると、ママ軍団にとっては助かるかもしれない。

 それに、借金を返すことが、マグノリアさんの働く気力に繋がるなら、それはそれでいいかな、とも思った。


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