表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
何かと忙しい三度目の冬

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

554/977

第487話 ガーデンライト(1)

 家の明かりといえば、獣脂を使ったランプが主流なのだそうだ。

 実際、獣王国に村があった時は、村長であるネドリの屋敷ぐらいでしか、魔道具のランプを使っていなかったのだとか。

 魔道具自体が大きな街まで行かないと手に入らないっていうのが、一番の理由。あとは値段と……魔石。

 魔石なんて、すぐに手に入るんじゃ? と思ったのだけれど、話を聞くと、魔道具に使えるようなサイズの魔石が、ポンポン手に入る今の状況の方がおかしいらしい。

 ウサギやネズミタイプの小さい魔物であれば、村や町など人が住んでいる近くでも狩れるけれど、取れる魔石はクズ魔石ばかり。ほとんど使い物にならないのだとか(私はアクセサリー用に使わせてもらってるけど)。

 でも、うちの村の場合、ダンジョンが近くにあるのと、エイデンが狩ってくる魔物が……大物揃い。当然、魔石も大物が増えている。

 肝心の魔道具のランプは、モリーナが村に住んでくれたおかげで、手に入りやすくはなったものの、やっぱり値段がそこそこするようだ。 

  

「サツキ様の『がーでんらいと』、魔道具ではないんですよね」

「そうね」


 モリーナは街灯っぽいソーラーガーデンライトの周りをウロウロしながら聞いてくる。


「魔石の交換も必要ないんだもんなぁ~、どうなってるんだろう……仕組みが気になる~」


 こちらにも魔道具のランプがあるくらいだから、光らせる仕組みはあるんだろうけれど、そもそも電源の元となるソーラーパネルが作れるのか。

 たとえ仕組みがわかっても、元になるソーラーパネルや電池が作れないんじゃどうにもならないと思うのだが。


「気になるな~、気になるな~」


 チラッ、チラッと私を見てるモリーナに苦笑い。

 さすがにこの街灯をいじらせる気はない。絶対、分解して壊しそうだもの。1個1万近い物をモリーナに分解させる気はない。


「モリーナ、黙れ」

「ひぃっ!」


 エイデンの不機嫌な声で、びびるモリーナ。

 

 ――びびっていながらも、街灯への興味は消えないのよねぇ。


 彼女の視線は、街灯と私を往復している。


「……はぁ。わかったわ」

「えっ!」

「これは、ダメ。この街灯は高かったんだから。ガーデンライトの仕組みが知りたいっていうんだったら、これでもいいでしょ」


 そう言って私が『収納』から取り出したのは、ログハウスの敷地に設置していた足元を照らす小さいサイズのガーデンライト。 

 これはこの山に住んで最初に買ってきた物。黒いポールの部分や傘の表面が日焼けで色あせてきている。かなり安かった物なので、すぐにダメになるかと思っていたけれど、いまだに現役だった。街灯タイプのガーデンライトを挿すのと交換にしまっておいたのだ。


「よ、よろしいのですかっ!?」

「いいよ。でも、せっかくなら、同じようなガーデンライト、魔道具でも作ってよね」

「うぐっ!」


 モリーナが作れるようになるんだったら、『売却』で貯めこんだこちらのお金を使ってしまいたいのだ。


「面白半分で分解するんだったら……エイデン?」

「ああ。……エルフ、覚悟しておけ」

「ひーっ!」


 金色のドラゴンの目に変わったエイデンに睨まれて、モリーナは悲鳴をあげて逃げ出した。古いガーデンライトは私の手の中に残ったまま。


「忘れてるよっ!」


 私の声がモリーナに届いたようで、猛ダッシュで戻ってきたのは言うまでもない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ