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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
何かと忙しい三度目の冬

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第484話 マリアンヌからの手紙 

 マリアンヌさんからの手紙をまとめると、こうだ。

 学校に戻って早々、婚約話が出ていた貴族と遭遇したのだそうだ。実際に再会してみて、自分でも不思議に思うくらい何とも思っていないことに驚いたそうだ。周囲の友人たちからも、『正気に戻った』と言われるくらいで、マリアンヌ自身、驚いたのだそうだ。


 その後、不審な飴が届いたり、部屋への侵入者がいたりと、戻って早々、色々とトラブルが続いたのだとか。

 飴については、同じ寮の貴族のご令嬢が調べてくれているそうで、同じ物が届いても食べてはいけないと言われているらしい。

 不審だと思っている時点で口にしないだろう、と思ったけれど、甘味が比較的高級なこの世界では、違うのだろうか。

 その後、不審な飴は届いていないということなので、ホッとする。


 部屋への侵入は、わかっているだけで3回あったらしい。

 その3回というのも、寮の部屋のドアの前に半身を黒焦げにして失神しているメイドが倒れているのが2回、マリアンヌの部屋の真下の庭で、水浸しになって倒れている黒装束の男性が発見されたのが1回と、犯人が捕まっているからわかったのだとか。

 結局、立て続けに起きたことで、別の空き部屋に変わったのだそうだ。


 そんな中でも、元から仲の良かった友人たちのおかげもあって、楽しく学校生活を送れているらしい。中でも、ある高位貴族のご令嬢が気にかけてくれるようになったそうで、何かと庇ってもらっているのだとか。

 ……どうもペット扱いらしい。

 まぁ、小柄でかわいい顔をしているマリアンヌは、村でも可愛がられていたから、納得ではある。

 

 そして、肝心の婚約話の出ている相手は、変わらずに偉そうに接触をはかってきていたのだけれど、男色だったことが発覚したのだそうだ。

 どうも男子寮で、従者らしき男性との痴話げんかをしている所を目撃されたらしい。

 さんざん男爵令嬢たちを侍らせていたのにと、マリアンヌだけではなく、他のご令嬢たちも驚いているのだとか。 

 帝国の貴族の間では同性愛というのは禁忌なのだそうだ。

 バレてしまった令息は、当然、女子生徒からは総スカン。男子生徒も巻き込まれたくないという感じで距離を置かれているのだとか。

 近々、風紀を乱したとかで退学扱いになるんじゃないか、というのが専らの噂なのだそうだ。


 ……マリアンヌが学校に戻って半月足らずで、ここまで色々起きるとは、彼女でなくてもびっくりだ。

 特に……マスコットの結界機能。


 ――それ、マスコットの仕事じゃなくない?


 たらりと冷や汗が額から垂れる。

 マスコットを作った時点では、結界と浄化という鑑定結果だったはず。

 絶対、精霊たち、なんかやっただろ、と周りを楽し気に飛び回っている精霊たちに目を向ける。

 葡萄の苗木の枝に腰かけていた土の精霊たちと、目が合った。皆、にっこりと笑っては、キャッキャと楽し気にじゃれ合っている。


 ――見た目は可愛いんだけどなぁ。


 はぁ、とため息をついた後、少し離れたところで立ちながら手紙を呼んでいるドレイクへと目を向ける。

 ドレイクの顔が……だらしないことになっていた。


 ――鼻の下、伸びてるよ~。


 内心そう思いながらも、仕方がないか、と笑ってしまった。


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