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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
何かと忙しい三度目の冬

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第481話 マリアンヌへのプレゼント

 マリアンヌはミサンガの作り方を教えてもらえることになったことで、大喜びで練習を始めたらしい。

 思った以上にマリアンヌは不器用さんだったようで、前に練習用にと提供した100均の刺繍糸の在庫がなくなるんじゃないか、というくらい……頑張っているらしい(物は言いよう)。

 その一方で、私もマリアンヌへのプレゼントを用意しないと、と思って、少し悩んでいるところだ。

 いつもなら、私もミサンガを作るんだけれど、きっとマリアンヌはドレイクとお揃いで自分の分も作ると思うのだ。


 ――普段使いできる物の方がいいと思うんだよねぇ。


 そもそも、学校で付けられるような物って何なのか、と思うわけだ。

 残念ながら、うちの村の住人たちでは貴族が通うような学校のことなどわからない。

 だからといって、私が直接聞くのも変な気がしたので、孤児院の年長組のベシーに聞いてもらった。


 ・基本は、学校の制服がある。

 ・宝石等の華美な装飾は不可。

 ・女生徒の長い髪は、リボンで縛る。


 というのは建前で、高位貴族になると制服も改造してたり、宝石付きの髪飾りや、高級そうなリボンを付けている人もいるんだとか。

 肝心のマリアンヌはというと、豊かな緩く波打つダークブラウンの髪を襟足近くで一本にまとめているだけという、かなりシンプルな髪型が多い。

 私の中でリボンは艶々で滑らかなサテンが頭に浮かぶけど、マリアンヌは無地のピンクやオレンジの厚手の生地のリボンを使っているイメージがある。

 さすがに、今回はリボンは買ってきてないけれど、下手にあちら(日本)のリボンをプレゼントなんてしたら、逆に貴族のお嬢様とかに顰蹙をかいそうだ。


「ヘアゴム使って、髪飾りでも作るか」


 手芸用に買ってあった黒いゴム。

 髪が長かった時は、それをヘアゴム用に切ったりして使っていたけれど、この前、ばっさり髪を切ってしまったので、今のところ使い道がない。

 

「毛糸で編んでシュシュとか作れればいいんだけど」


 残念ながら、そこまで器用ではない。

 なので、フェルトボールを使ったヘアゴムを作ることにした。もちろん素材はホワイトウルフの毛。白一色だとつまらないので、染め上げてある毛糸を分けてもらって、それをほぐして、フェルトボールを作ることにした。


 チクチクチク

 

 暖炉の前で、マリアンヌの為にと、ひたすら毛の塊に針をさす。

 テーブルの上には2つ皿が置いてある。

 大きめの白いお皿には、色んな大きさのフェルトボールがいくつか転がっている。

 草木染で染まっている毛糸が元になっているので、淡い色が多い。その中で一番濃い色が山吹色。

 もう一つ、小さめのお皿には、アクセサリー職人のアビーさんから譲ってもらった(買うと言ったんだけど、お金を受け取って貰えなかった)魔石が置いてある。大きさは小指の爪くらい。アクセサリー用なので、金具もついている。

 

「フェルトボールにも、金具をつけて……ゴムを通して……出来上がりっ!」


 山吹色のフェルトボールを中心に、白、淡い黄色、薄いオレンジ、そこにペールグリーンの魔石が加わって、色合いも悪くないと思う。

 念のため、タブレットで『鑑定』してみて……そっと画面を閉じた。


 ――うん、苛められなきゃ、問題ないはず。


 私は気持ちを切り替えて、次のヘアゴムを作ろうと手を伸ばした。


         *   *   *   *   *


『さつきってば、きあい、はいりすぎー』

『はいりすぎー』

『ばいがえしって、なにー』

『ぶつりも、まほうも、ばいがえしー』

『じゅそもばいがえしー』

『どくもかえしちゃうって』

『こわーい』


 くすくすと笑う精霊たちの声。


『どれいくのおきにいりだ。われらも、まりあんぬをみまもるぞ』

『つちの、ほどほどにな』

『さつきにはまけるわ』

『うふふふ』


 真剣にチクチクやっている五月の耳には届かない。


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