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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
何かと忙しい三度目の冬

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第480話 ミサンガ作り

 ハノエさん曰く、ドワーフのマリアンヌが、ミサンガを作りたいと言っているらしい。


「だったら作ればいいんじゃないの?」


 私はハノエさんたちを東屋の方へと案内して、今は紅茶(昨日の買い出しで買ってきたお徳用の紅茶)を出しているところ。

 ママ軍団はストレートで、女の子たちはたっぷりハチミツをいれている。

 小さい東屋なので、ちょっとギューギューになっているのは我慢してもらう。少し寒いから、ちょうどいいかもしれない。


「作り方を、教えてもよろしいので?」

「うん? かまわないけど……何か問題あるの?」

「五月様から教えて頂いた物ですので、安易に村人以外に伝えるのは」

「いやいやいや、大した物じゃないですし」


 不器用な私でも作れるような物なんだから、作ろうと思えば誰でも作れるはずだ。


「……ただ、ホワイトウルフの毛を使ったミサンガを作りたいそうなんです」

「……あー」


 ホワイトウルフの毛。

 頻繁に毛梳きをしているので量は多いはずだけど、糸に紡いであるのは、毛梳きチームのおばあちゃんたちにお任せ状態。ストックがどれだけあるんだろう。

 私もこの冬に赤ちゃん用の靴下を編みたいと思っていたし、ケイトさんたちも編み物をしたいと言っていた。


「毛糸はあるのかな」

「あるにはありますが……」


 ホワイトウルフの毛のミサンガは、魔石やカラフルに染めた毛糸で編みこんでいることもあって、グルターレ商会へいい値段で卸していて、村の収入源でもあったりする。

 一応、孤児院の女の子たちにもミサンガの作り方は教えてあげてはいても、練習素材にしていたのは、以前100均で買っておいた刺繍糸だ。


「まずは、普通の糸を使って作り方を教えてあげて、上手く出来るようになったら、作らせてあげれば? ていうか、そもそもなんでホワイトウルフの毛なの」


 そう言うと、皆が顔を見合わせて、ニヨニヨしだした。


「マリアンヌってば、ドレイクにプレゼントしたいんだって」

「ガズゥくんのしているのが素敵だったから」

「ほら、ケニーさんやラルルさんもしていて、カッコいいって」

「できれば自分で作った物をあげたいって言ってました」

「年が明ける前には、戻らなきゃいけないからって」

「フフフ、告白するんだって。ねー?」


 くすくすと笑う女の子チーム。


「若いっていいわねぇ」

「ほんとー」

「懐かしい~」


 ――ママ軍団、(私より年下の時点で)あんたらも十分に若いわっ!


 心の叫びを抑え込む。


「帝国の貴族の彼氏っていうのは」

「すっかり、『誰それ?』って感じです」

「傍から見たら、ドレイクにぞっこんって感じで」

「ドレイクもまんざらでもなさそうだし」

「そうそう! ゲインズさんもドレイクのこと気に入ってるみたいだし」

「マリアンヌ、帰りたくないって言ってるし」


 女の子チーム、キャッキャウフフと大盛り上がり。

 まぁ、人の恋愛話は楽しいよね(遠い目)。  

 そういえば、マリアンヌが『魅了』にかかっていたのを思い出す。どこでどうやってかけられていたモノなのかわからないけれど、なんとなく予想はつく。

 絶対、貴族の彼氏だろう。

 学校に戻ったら元に戻ったりしないだろうか、と思うと、ちょっと、嫌な気分になる。

 とりあえず、上手く出来るようになったのをハノエさんが確認した上で、ホワイトウルフの毛で作ってもらうことにした。


 ――私もマリアンヌ用に、何か作ってあげたほうがいいかもしれない。


 何がいいだろうか、と、考えながら紅茶を飲み干した私であった。


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