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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
冬ごもりに向けた晩秋の過ごし方

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第475話 年内最後の買い出し ー苗木ー

 気が付いたらショッピングモールでの買い物同様、カートに山盛り状態。周囲の視線が、少し痛い。

 そんな中、店内のレジへと向かう。


「いつもありがとうございます」


 にこやかに声をかけてくれたのは、毎回レジの対応をしてくれるおばさん。顔は見覚えがあるので、にこりと笑顔で会計をお願いする。

 ちょっと量が多かったので、サポートでもう一人入ってきた。会計の済んだ商品を大きな段ボールに詰めていってくれている。ビニール袋じゃ入りきらない物もあるし、何枚も使うはめになりそうでもある。

 詰め終わった段ボールが、どんどん大きな台車に積まれていく。


 ――買いすぎたかな。


 去年の今頃も大量買いした記憶はあるけれど、ここまで買ってはいなかったような気がする。今からカードの引き落とし金額が不安だ。

 スタッフのお兄さんが、駐車場にとめてある軽トラまでついて来てくれた。


「宴会でもやるんですか?」


 荷台のカバーを開けての第一声がこれ。


「あ、あはは」


 実は、酒造りの研究をしたいのでと、ヘンリックさんとゲインズさんにお酒の買い付けを頼まれていたのだ。ビールはもちろん、ワインや焼酎、日本酒、ウイスキー等々。

 研究などと言いながら、全部、飲むだけになりそうなドワーフたちの姿しか思い浮かばないけど。

 ひょいひょいと荷台に積み上げてくれるお兄さんに感動。


「どうもありがとうございます」

「いえいえ! こちらこそお買い上げありがとうございました!」


 お兄さんの言葉に、気分よくエンジンをかけて、いざ、ログハウスに戻るぞ、と思ったのだけれど、ある場所に目を向ける。

 建物の外にある苗木売り場だ。


「あっ! 葡萄の苗!」


 先日来たグルターレ商会のカスティロスさんに、あちらの葡萄の苗の話を聞いたのだ。赤ワインにする葡萄の苗を取り寄せられないかと。

 結論から言うと、ワイン用の葡萄の苗自体が、流通に乗ることはないのだとか。

 その土地土地にあった苗木でないと、すぐに枯れてしまう物が多いのもあるし、そもそも、他所に分けるようなこともしないんだとか。

 一応、野生の葡萄もあるにはあるそうだけど、あんまり美味しい物ではないそうだ。

 この時期に葡萄の苗木があるかどうかわからないけれど、確認だけをしておこうと、駐車場の中、苗木売り場の近くへと移動する。


「……あ、あった」


 葡萄の苗木がまとめて置いてあるところを見つけた。

 葉が一枚もない、ただの枝みたいなので値札には、こんな葡萄になりますよ、という画像が貼られている。一応、赤ワイン用と書かれている。


「シャインマスカットの苗木よりは安いけど……」


 同じ並びにシャインマスカットの苗もあったのだ。そちらの方が1000円ほど高い。

 さっき、バカみたいに買ったのに、苗木1つの値段に躊躇する。


「……精霊たちにお願いすれば、枯れることはない……はず」


 そう自分に言い聞かせ、葡萄の苗木を5本買うことにした。

 苗木をカゴに入れて外にあるレジへと持っていく。


「あ、可愛い」


 レジ前に小さなシクラメンの苗が売られていた。赤、白、ピンク、黄、紫とカラフルだ。

 ふと、今のログハウスの前の様子を思い出す。

 今は花もないし、紅葉した桜の木の葉もそろそろ落ち始めている。


「……花壇とか作ってみるか」


 レジのおばさんに、長く楽しめそうな花をいくつか教えてもらい、それもカゴに追加する。

 この冬は、カラフルな庭になるかもしれないと思ったら、ちょっと楽しくなった。

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