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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
冬ごもりに向けた晩秋の過ごし方

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第466話 グルターレ商会とママチャリ

 久しぶりにグルターレ商会がやってきた。荷馬車がぞろぞろと村の中へと入ってくる。


「よろしくお願いします。皆さん、お元気でしたか」


 にこやかに挨拶をするカスティロスさん。

 今回もがっぽり稼いでいくんだろうな、と思いつつ、私も何か面白いものがないかな、と期待をしていたりする。

 荷馬車からドンドン荷物が下ろされていき、そこに村人たちが集まっていく。

 その様子に、驚いているのは、新しく村人になったコントルたち。


「エルフだ」

「エルフだな」

「……村にもいるじゃない」


 何を今更、と思ってツッコミをいれると。


「いや、あの、モリーナさんはエルフっぽくないというか」


 ポリポリと頬をかくコントル。隣に立っていた奥さんのケイトさんがクスクスと笑う。まだお腹は目立たないものの、冒険者時代の時とは違ってゆったりしたワンピース姿だ。

 それはボドルさんの奥さんであるリリスさんも同じ。容姿は似ていないのに、同じようなワンピースを着ているせいか、姉妹に見える。


「確かに。モリーナさんは……エルフっぽくはないか」


 行商で来ているエルフたちは狩人みたいな格好に綺麗な銀髪のストレートの髪なのに対して、モジャモジャ頭でだっぽりした作業着(濃紺のつなぎのようなもの)姿の彼女。髪質に曾祖父のドワーフの血筋が明確に出ている。


「アビーさんだっているじゃない」

「あ、そうだった」


 そう言って視線はアビーさんへと目が行く。

 モリーナさんが他のエルフと話をしている脇に立っている彼女。アビーさんは典型的なエルフの容姿なんだけど、格好がモリーナさんとお揃いの作業着姿。エルフっぽくないと言われれば、そうかもしれない。


「しかし、エルフ特有の臭いがしない」

「ああ、そうなのね」


 最初に来た頃は彼らのニオイが獣人たちにはキツイようで、遠巻きにされていたんだけれど、最近はエルフたちのほうで気を使ってくれているようで、ニオイが気にならなくなっているそうだ。

 ……私には違いは全然わかんないけど。

 

「うわー! さすが師匠!」


 モリーナさんの大きな声が聞こえて、そちらの方へと目を向けると。


「あ、ママチャリ」


 ドワーフたちとモリーナさんが分解して直せなかったヤツが、きちんと直っている。


「直ったの?」

「あ! サツキ様! えと、あのー」

 オドオドとモリーナさんが言い訳するには、分解したママチャリ、自分たちでは無理だからと、魔道具師の師匠であるギャジー翁に送りつけたらしい。


「何やってんのよ」


 呆れながらママチャリに目を向けると、なんかピカピカに磨かれている。ちゃんと動くのかと思って、後輪についているストッパーを外す。


「どれどれ」


 ちゃんと動いた。ぐるーりとモリーナさんたちの目の前を走って見せながら、ライトを点けると、ピカ―ンと点いた。


「ちゃんと直せた師匠、凄いね」

 

 正直、ドワーフたちでも無理ならダメだろうと思ってたんで、直っただけでもびっくり。

 モリーナさんたちの前に戻って、ママチャリを止める。


「あの、サツキ様」

「うん?」


 私の名前を呼んだのは、ママチャリを運んできてくれたエルフ。名前までは覚えてない(皆似たような顔立ちなんだもの!)。

 そのエルフが、1通の封筒を差し出した。


「こちら、ギャジー翁からサツキ様へとお渡しするように言付かって参りました」


 緑色の封蝋がされた手紙は、見るからに重要案件って感じ。

 さすがに目の前で開けて読むのは憚られるので(というか読めない……)、家に持ち帰ることにした。


「必ずお返事を頂くようにとのことなので、我々が村を離れる前までにお願いできますでしょうか」

「あ、はい」


 そう言われて一気に手元の手紙が重たく感じた。

 厄介事じゃないといいんだけどなぁ。


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