第461話 薪づくりと、新しい村人
買い出しから数日経った。
その間、冬ごもりのために自家製パンを作ったり、ヨーグルトに挑戦したりしていた。
食べ物熱が治まったところで、今日は、薪づくりの日にした。
ドサドサドサっと大木を地面に落としていく。エイデンの城がある山の斜面(南側)の木を『伐採』したものだ。(ちなみにエイデンのお城は山頂付近にあるらしい。未だに行ったことはない)
村の中央の広場に集まる村人たちに目を向ける。
「後は任せていい?」
「はいっ、お任せくださいっ!」
わーっと、いっせいに大木に群がる獣人たち。中にはドワーフの姿も見える。彼らの手にあるのは手斧。皆で薪作りが始まった。
薪は、各家庭にある程度用意してはあるようなのだけれど、在庫を増やしておくにこしたことはない。ついでに、うちで使う分も作ってもらうのも忘れない。
後のことは彼らに任せて、私は再び山の斜面へと向かう。
この斜面、立ち枯れの拠点に面している所で、日当たりがいいおかげなのか、大木が多く生えている。私が多少『伐採』しても、微々たるものという感じ。
「よいっしょー」
「おーもーいー」
「おりゃぁぁぁぁ」
斜面の方から聞こえてくるのは、ガズゥ、テオ、マルの三人。どうも地面に残った切り株を掘りだそうとしているようだ。
……びくともしていないけど。
「ほらほら、私がやるからどいてー」
「えー」
悔しそうなガズゥたちをよそに、私は切り株を『収納』していく。『収納』した切り株は、そのまま『廃棄』してもいいんだけれど、これをウッドチップにしようと思っている。
木々の間から、秋の日差しが零れてくる。
空気も澄んでいて、そよそよと吹く風が気持ちいい。
せっかくなので、休憩しようとビニールシートを敷いて、ガズゥたちも座らせる。
今日は冷たい麦茶のボトルと、自家製の総菜パンだ。パンの中身はソーセージやマヨネーズの絡んだコーンが入ってる。
ガズゥたちが美味しそうに食べている姿を見て、思わずニヨニヨ。
パンを食べながら、不意に、獣王国の近くの山のことを思い出した。
「そういや、北のほうの山(獣王国の近く)のメンテナンス、行ってないな」
自分の土地になっているにも関わらず、ついつい、家の周辺だけになってしまう。それだけ、やることが意外にあるのだ。
「北のほうの山なら、時々、ドンドンおじさんたちが行ってますよ?」
「え、そうなの?」
ガズゥ曰く、ドンドンさんだけではなく、村の中で狩りが得意なメンバーが、魔の森に狩りに行ったついでに、草刈りや伐採をしてくれているらしい。
「今度、何か差し入れでもしなきゃだね」
「ドンドンおじさんも喜びます」
何がいいかなぁ、なんて考えながら、麦茶を飲もうとしたら、村の方から誰かがやってくる足音が聞こえてきた。
「噂をすれば……ドンドンおじさん!」
「ああ、ここにおられましたか」
やってきたのはドンドンさんと、彼よりも年上(たぶん、30代後半から40代くらい?)の大人しそうな男性の狼獣人。村人の一人だ。顔だけは見覚えがある。
「五月様、申し訳ないのですが、村まで戻っていただけませんか」
「何か、あったんですか?」
「ええ……ケニーたちが、新しい村人を連れて来たのです」
「……その方、大丈夫なんです?」
前回のララさんのことがあっただけに、私の方も懐疑的になってしまう。
「あの」
大人しそうな狼獣人が声をあげる。
「ケニーが連れてきたのは、うちの娘なんです」
……おや、身内だった模様。
私は急いで立ち上がって後片付けをすると、皆で村へと戻るのであった。
ちなみに、ヨーグルト作りに参考にしたのはこちら。
https://www.youtube.com/watch?v=-Yq2QkIwPX4





