第442話 若き冒険者たちの帰郷
村の入口の手前、前に王子たちが使った宿舎が建っている場所で、若い冒険者たちが困惑気味に集まっている。
「なんか、凄い家が建ってる」
最初に呟いたのは、ラルル。隣に立つケニーもコクコクと頷いている。
村にやってきた冒険者たちの数は、14人。そのうち半数近くが、知らない人となると、安易に村の中に入れるのも憚られるので、宿舎のところで一時停止状態。
「この前、王子様っていうのが来たんだ。その時、五月様が作って下さったんだよ!」
自慢げにいうガズゥに、なるほどと頷くのは、私のことを知っている子たち。
ガズゥが走り出した相手でもあるドゴル、ナード、メンレ、ロムルは、村でも一番若手の冒険者パーティ。そして、二番目に若いパーティが、ケニーとラルルはイトコ組だ。
一方のお初な方々は、びっくり顔。
「王子っていうのは?」
訝しそうに聞いてきたのは、ボドルさん。なんとハノエさんのお兄さんなんだとか。ガッシリした体型で、なかなか貫禄がある……というか、ちょっと怖い。
「コントリア王国の王子ですよ。前に保護した公爵令嬢が、遊びに来まして、それに同行してきたんです」
「……こんなところに、公爵令嬢が?」
「ボドルさん、ほら、前に話したでしょ? ガズゥが誘拐されたって」
「ああ、その時の」
ケニーに言われたボドルさんだったが、納得したって感じでもない。とりあえず、これ以上聞かれないのなら、身内で話して貰った方がいいかな。
ちなみに、お初の方々というのは、ボドルさん、コントルさん、ネシアさん(♀)、というハノエさんの兄弟に、ケイトさん、リリスさんというパートナーを加えた5人組の冒険者パーティが1つ。
ネーレさんという、テオとマルの従兄でソロの冒険者。
そして、スコルさんとメリーさん夫婦の息子の、ガンズさんと、そのパートナーのララさん。
出会い頭に紹介してもらったものの、この大人数では、すぐに顔と名前を覚えられる自信がない。
ちなみに、パートナーたちは他所の村出身の狼獣人なのだそう。
「ボドル兄さん!」
村の方からハノエさんが猛ダッシュで走ってきた。
「ハノエ!」
ガシッという音が聞こえそうなくらいの勢いでタックルしてる。その勢いでこられたら、私は確実に死ぬな(遠い目)。
抱き合う二人に重なるように、ネシアさんコントルさんもギューギューと抱きついている。随分と仲のいい兄弟のようだ。
「ガズゥはいいの?」
一応、身内なので聞いてみると、あの3人のことはあんまり覚えていないのだとか。よっぽど長い間、村に戻ってなかったってことなのかもしれない。
「い、いったい、どうしたの!?」
ハノエさんがもみくちゃにされながらも、なんとか声をあげる。
「たまたま、こいつらと帝国のダンジョンで会ってな」
ボドルさんが、ケニーの方を親指で指さす。
ケニーとラルルはダンジョンに潜ってたのか。他所のダンジョンってどんな感じなのか、聞いてみたいところだ。
「村がスタンピードに襲われて、他所に移住したって言うからさ。これは一度、戻らなきゃいかんだろうとなってな」
「そうなのね。色々話を聞きたいところなんだけど……五月様、村に入れてもよろしいですか?」
ハノエさんが心配そうに声をかけてきた。
私はジッと、新顔さんたちを見つめる……ように見せかけて、精霊たちの様子を伺う。
『だいじょうぶ、だいじょうぶ』
『あー、でも、このメスはようちゅうい』
『なにかあったら、けしてあげるし』
『まかせとけってー』
ブンブンと飛び回っている姿は愛らしいんだけど……すんごい、物騒なこと言っている。
チラリと、要注意人物と言われた女性に目を向ける。ただ、普通にオドオドしているように見える。冒険者、なんだよねぇ?
ネドリもエイデンも、まだ戻ってきていないから、 面倒ごとは嫌なんだけど。
「わかりました。村の中までは、許可しますよ」
「ありがとうございます!」
……ハノエさんの嬉しそうな顔が、歪むことがないことを祈る。
今回は新しい登場人物が多めなので、簡単に整理します。
▶五月が知っているメンバー
▷前の村から最初に逃げてきた子供たち
ドゴル
ナード
メンレ
ロムル
▷ガズゥたちとの再会の時に護衛してた若者
ケニー
ラルル
※二人は、いとこ同士。
ちなみに、ラルルはドンドンの腹違いの妹。
▶初めましてメンバー
▷ハノエの家族
ボドル(長兄)
コントル(次兄)
ネシア(妹)
リリス(ボドルのパートナー)
ケイト(コントルのパートナー)
▷ネーレ(テオとマルの従兄)
▷ガンズ(獣王国の拠点作りの時に同行したスコル・メリー夫婦の息子)
ララ(パートナー)





