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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
初秋は美味しい物でお腹いっぱい

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第438話 種拾い

 スーパーカブで山の中の桜並木を駆け抜ける。

 それほどスピードを出してないのもあるのか、キャッキャと楽しそうにガズゥたちが追いかけてくる。余裕ありすぎ。

 さすが獣人。

 椿の木は、村の南側から山から下りてくる桜並木の道の門の傍らまでの山裾に植えられている。去年の夏に植えた時は、ひざ丈くらいの小さな苗木だったはずなのに、すでに私の背丈を越えて見上げるくらいの立派な椿の木になっている。

 ……さすが異世界クオリティ。

 わかってたつもりでも、わかってなかったね。

 椿の苗木の数は多くはなかったので間隔を開けて植えたのだけれど、今の状況を考えると正解だったようだ(精霊たちが自慢気に飛んでいる様は、スルーする)。

 まだ木になっている実もたくさんあるけれど、地面に落ちて濃い焦げ茶っぽい種が零れているものもたくさん見受けられる。


「その種だけ拾ってくれる?」

「これ?」


 テオの小さい指につままれた種。自分も椿の種なんて、実際に見たことはなかったけれど、思ってたよりも大きかった。


「はい、この袋にいれてってくれる?」

「はーい」


 3人に大きめのジッパー付きビニール袋を渡すと、猛ダッシュで走っていく。村の方からでも集めに行ったのだろう。

 私はのんびり、目の前に落ちている種を拾っていく。粒が大きいのもあるけれど、思ってた以上に重い。

 一番大きい袋にしたつもりだったんだけど、種が大きいのと落ちてる数が多いこともあってか、袋がいっぱいになるのは、あっという間だった。

 種でいっぱいになった袋を『収納』にしまい、新しい袋を取り出す。


「さつきさま~、いっぱいになった~!」


 マルが袋を抱えて走ってくる。


「おお、ありがとう。新しい袋は、これね」

「はーい!」

「あ、ぼくも~!」


 テオの後を追いかけてきたマルの袋もいっぱいになっていたので、ガズゥの分も合わせて新しい袋を渡してあげた。


 結局、4人で集めたのは8袋。一人2袋。重さでいったら、4、5キロ分になったんじゃないだろうか。まだ木に生っているのもあるから、もう少し採れるかもしれないが、拾った分だけでも十分だろう。

 すでに日が傾いてきているようで、空は茜色に変わってきている。


「種は、洗って天日干ししなきゃいけないんだけど、もうこんな時間だから、今日はここまでにしておこうか」

「明日も手伝いますか?」

「ううん、むしろ、乾いてからのお手伝いをお願いしたいかな」

「なにをてつだうの?」

「この種の殻を剥くの」

「これ?」


 マルが一つだけ種を袋から取り出して、指で割ろうとしたけれど……割れない。


「かたーい!」


 その声に、ガズゥとテオも挑戦するけれど、やっぱり割れなかった。


「今度、殻を割るときには金槌を持ってきてくれる?」

「わかりました!」

「わかった!」

「はーい」


 種の殻を剥いた後は、それを粉砕しなくちゃいけないんだけど、うちにある小さなすり鉢では時間がかかりそうだし、そんな体力はない。


 ――ミキサー買おう。


 明日にでも、他にも色々買い出しに行こうと、心に決めたのであった。

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