第427話 米、旨っ!
初めて育てた稲。それを精米したお米を土鍋で炊いてみた(ちなみに無洗米)。
すっかり土鍋で炊くのにも慣れて、いい感じに炊けたと思う。艶々だ。
しゃもじでご飯をほぐすと、底のほうのお焦げが現れる。しゃもじについた米粒を食べてみる。
「ん、旨い」
あちらで買ってきた米と遜色ない味……むしろ、こっちの方が甘みを感じる。
それに、粒が若干、大きい気がする。さすがに、鶏の卵のように倍というほどではないけど。
「……俺も食べたい」
ログハウスのドアの所から顔だけ覗き込んでいるのは、エイデン。じとっとした目で見るのはやめてほしい。
日が傾いたのか、彼の背後に見える木々が少し赤くなっている。
「待ってなさいって」
エリーたち、ちびっ子たちと一緒に、果樹園に行って梨をもいできてくれるように頼んだはずなのに、なぜ彼がここにいる。
「エリーたちは?」
「池のところで『梨』を洗ってる」
「けっこう採れた?」
「いや、まだ青いのが多かったよ」
「そっか……それじゃ、土鍋ごと東屋に持っていくから、どいてくれる?」
お手製のミトンで土鍋を持って行こうとしたら、
「俺が持っていく」
「え、熱いよ」
「問題ない」
そう言って、ひょいっと素手で土鍋を受け取ってくれた。
素手で。
……さすが古龍である。
その間に、作り置きしていた焼き鮭と卵焼き、魔物肉のそぼろに、自家製梅干しを大きめなお皿に取り分け、この前買ってきた海苔の佃煮の瓶を手にして思う。
「……朝食みたいなメニューだけど、仕方ない」
――私は白飯を美味しく食べたいのだ!
おかずの載ったトレーを持ってログハウスから出てみると、東屋ではエリーたちとエイデンが土鍋を覗き込んでいる。
テーブルの端に梨の載った笊。まだ上の方が青いけど、味はどうだろう。
「おまちどうさま」
一斉に私の方へと顔を向けるエイデンたち。タイミングが合い過ぎで、思わず笑ってしまった。
さすがに人数分の茶碗はないので、プラスチック製のお皿にご飯を取り分けてあげる。子供たちはスプーンとフォーク、エイデンは私と同じお箸だ。
「さぁ、食べてみて」
私の声に、ちびっ子たちはおかずの方に手を伸ばした。
……うん、米より、肉か。
魔物肉のそぼろに、スプーンが一斉に向けられたのに苦笑いしながら、私は梅干しをつまむ。粒の大きい自家製梅干し。これだけで、ご飯一杯食べられそう。
「ん~、すっぱ」
でも、思いのほか美味しく出来ている気がする。
隣に座るエイデンも器用に箸を使って、ご飯を食べている。
「旨いな(それに、魔力の濃度も濃い……うん? 癒しの効果か。疲労感が薄れていく)」
ニヤニヤしながら食べているエイデンが、若干気持ち悪い。
一方の子供たちは、あっという間に白飯を食べきってしまった。
「おかわり、いる?」
「ほしいっ!」
土鍋の中は、あっという間に空っぽになった。
お皿のおかずは、梅干しだけが残り、海苔の佃煮の瓶は残り半分もない。まぁ、梅干しはね。好みがあるしね。うん。





