第425話 精霊たちのヤル気と、脱穀
稲は、干して5日、買い出しに行った翌日には乾燥完了してた。普通は2週間かかるって書いてあったのに。
――早すぎるんじゃない?
たぶん、風の精霊たちのお陰だとは思う。……ちなみに、私はお願いはしていない。
実際、薪を作るお願いをした時は、あっという間だったから、そりゃぁ、稲だって、お願いすれば、すぐに乾燥もしてくれたのだとは思う。
でもね、なんでもかんでも、精霊にお願いして、便利に使うのって、なんか違う気がするのだ。
「ありがとうね。でも、そんなに頑張らないでいいからね」
『がんばってないよ~』
『これくらい、ちょちょいのちょーい』
『ねぇ、もっと、なにかない?』
……風の精霊たちのヤル気が凄い。
薪はすでに小屋の中でいっぱいになっていて、『収納』にもストック済みなので、これ以上作る予定はない。
「うん、今はないから、遊んでおいで」
『はーいっ!』
『いっくぞー』
ひゅーんと上空に飛んでいく風の精霊たち。
どこに行くのかは、彼ら次第。戻ってきた時にでも話を聞いてみよう。
ふと、水田の跡へと目を向ける。稲を刈り取ったままなので、本来なら根元が残っているはずなのに、そこはすでに平らな状態。私は何もしていない。土の精霊たちが勝手にならしてくれていて、次を待っているのか……皆で踊ってる。
水の精霊は池の周りに集まってるし、光の精霊たちはガーデンライトやソーラーパネルに引っ付いてる。
ここで見かけないのは火の精霊だけど、彼らの多くがドワーフたちの工房で遊んでいるのは知っている。
「ヤル気は嬉しいんだけどねぇ」
ウノハナの事件の時も、何かやらかしてきたっぽいけど、詳しくは聞かなかった。いや、聞けなかったが正しいか。だって、皆、クスクス笑って教えてくれなかったのだ。
……精霊のやることだしね(遠い目)。
「五月様~、お手伝い来ました~」
「あ、いらっしゃい」
孤児院の子供たちが、脱穀の手伝いに来てくれた。
今日来てくれたのは、年少組の中でもお兄さん(エフィム、ボルト)、お姉さん(エリー、カロル)組の4人。
私はさっそくブルーシートを敷いて、その上に脱穀機を置き、脱穀した籾を受け取るところに大きな笊を置いた。
説明書を見ながら、干してある稲の束を一つ手に取り、レッツトライ。
稲の束を入口に突っ込み、バタバタ音をたてながら足踏みをする。
「うわ、ボロボロ出てきた」
「これ、食べれるの?」
エフィムとボルトが出口のところにしゃがみ込み、ボルトは笊から小さな籾をつまんで見ている。
「あ、食べちゃダメよ!」
口を開けたボルトに思わず注意する。
ペシリとエフィムに頭を叩かれて、ボルトはむぅという顔になる。
「さぁ、こんな風に実を取るのを手伝って欲しいの。エリー、続けてやってもらえる?」
「はいっ!」
それからは、エリーとエフィムと交代でバッタンバッタンやりまくり。
最初は引き込まれそうになったりもしたけれど、慣れてくると、なんとかなるものだ。
狭い田んぼながらも、けっこうな量の稲の束があったのに、その日のうちに脱穀を終えることができた。
途中、バッタンバッタンする音が気になったのか、ユキとスノーが様子を見に来た。
ちょうど笊の中の籾と藁を分けているところだったので、ユキが風魔法で藁だけ飛ばそうとしてくれたんだけど……見事に全部吹き飛ばしてくれた。
シュンとなったユキは、ちょっと可愛かった。
(子供たちと落ちた籾を拾い集めたのは言うまでもない)





