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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
春の終わりと、村の変化

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第377話 立ち枯れの敷地と、村の様子(1)

 キッチンのカウンターの上には、ホームセンターで買った、花の写真の卓上のカレンダーが置いてあったりする。

 それを見ると、今はあちらではゴールデンウィークの真っ只中。

 本来なら買い出しに行く日だったのだけれど、店も道路も混んでいそうなので、今日は行くのを止めて、立ち枯れの敷地のハーブを採りに行くことにした。


 青い空の下、スーパーカブで向かう。木々の間を抜けてくる風が気持ちいい。

 そんな私の後を、黒猫のマリンを背中に乗せたホワイトウルフの三つ子が追いかけてくる。三つ子はマリンが居ついたからか、毎日遊びに来るようになったのだ。

 いつの間にか並走していた子の背中に上手いこと乗ってるマリンに、感心する。


「おはようございます」


 立ち枯れの敷地についてみると、畑の野菜の世話をしていた村のご婦人たちが笑顔で挨拶をしてきた。すっかり、スーパーカブのエンジン音にも慣れたようで、驚くこともなくなった。

 彼女たちの腕の中には、丸々としたキャベツが抱えられている。つい、1週間前に『ヒロゲルクン』で苗を植えたばかり。さすがだ(遠い目)。


「おはようございます。今日もいい天気ですね!」


 スーパーカブを止めて挨拶をした私は、ハーブの植えてある場所へと向かう。

 鉢植えのハーブたちは、鉢のサイズに合わせてはいるものの、モリモリ。

 地植えしたローズマリーは、すっかり私の背丈くらいまで育っている。

 ハーブの匂いを楽しみながら、葉を採っていると、トンテンカンと金槌の音が聞こえてきた。


「教会かな」


 結局、教会の建物は村の石壁の外、水堀の内側に、建てることにしたそうだ。

 私が『タテルクン』で建てることも出来たけれど、まだ、司祭様、というか教会という組織が信用ならないというか(あんなブタがいたようなとこだし?)。

 そもそも丸投げしちゃってるので、彼らが作るというのであれば、お任せするのは当然だ。

 必要なハーブをジッパー付きのビニール袋に入れて『収納』にしまうと、教会の様子を見に向かう。

 村の門を出てすぐのところで、作業が進んでいる。けっこう思ったよりも大きい。


「おい、そこの板、取ってくれ」

「あいよっ!」


 ドワーフたちの元気な声が聞こえてくる。

 建物は、すでに骨組みは出来ているようで、思った以上に早く出来そうだ。


「おお、五月様!」


 私に気付いたヘンリックさんが声をかけてきた。他のドワーフたちも、工具をあげたり、帽子をとったりと挨拶をしてくる。


「おはようございます、凄いですね」

「いやいや、五月様の家に比べたら」


 ……私のっていうか『タテルクン』の性能だけどね。


「これだと、あとどれくらいで出来そうです?」

「そうですな、2、3日もすれば、なんとか住む場所は出来ますな」


 今、司祭様はネドリの屋敷で寝泊まりしているらしい。

 そりゃぁ、さすがに老人を村の外で野営させるわけにはいかないし、そんなのがケイドン側に知られたら、何を言われるかわからないしね。

 

「そういえば、司祭様は?」

「今は東屋で、ガズゥたちの勉強を見ているようですよ」

「おお~」


 いつも走り回っている姿しか見てないので、勉強している姿は気になる。

 私はドワーフたちと別れて、東屋に向かう。

 後をついていたはずの三つ子たちは、ガズゥたちに気付いたのか、東屋の方へと猛ダッシュしていった。


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