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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
山での生活環境を整えてみた
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第37話 水が溢れてる!?

 汗だくになりながら、ジーンズを洗う。マンション暮らしで洗濯機を使ってた頃には、洗濯板なんて、使うことになるとは思いもしなかった。

 頑張ってジーンズを絞ったけど……うん、水滴垂れてるね。まぁ、いいか。

 テントロープはかなりしなってるけど、うん、仕方ない、仕方ないね。

 干している場所は、テントから少し離れた背後。ちょうど日当たりはバッチリだ。


「よーし、干し終わった」


 折りたたみバケツの中の残った水を、山の斜面にある林の中へと捨てて、戻ろうとした時。


 キラッ


「ん?」


 何かが光った?

 私は光ったあたり、テントがあるのとは反対側、湧き水に向かう道のある方の山側に目を向けた。なんかキラキラして……濡れている? いや、水たまりが出来ている。


「……昨夜、雨降ってなかったよね」


 そもそも、テント周辺を見たって、地面は乾いてる。

 近くに寄ってみると……水が湧き出てる。ぷくぷくと水が溢れているのが見えるのだ。


「ちょ、ちょっと、このままじゃテントのとこまで水来ちゃうんじゃ!……え、どうしたらいいの!?」


 慌てて車に戻り、スコップを探し出す。車内の壁際に横倒しに入れておいたそれを見つけ出すと、再び、水が出ている辺りに戻る。


「とりあえず、この周辺だけ掘り起こして……よいしょ、よいしょっと」


 なんとか直径1メートルくらいの円形に穴を掘った。人工池、というには小さすぎるか。深さはせいぜい30センチあるかないか。水があっという間にいっぱいになってしまう。

 慌てて、下っている斜面の側へと水が流れるように、少しだけ地面を掘り返す。水路、というにはおこがましいけれど、幅は私の足のサイズより少し大きいくらい、25センチくらい。


「それにしても、なんで、こんなとこに急に水が出るかな」


 水量はそんなに増えてないから、水路に流れるようになってからは、この人工池からは溢れてはいない。


「これ……さすがに飲み水にはできないよねぇ」


 今の泥水状態では、飲みたいとは思えない。落ち着いてくれば違うのかもしれないが、せいぜい、畑でも始めた時の水撒き程度か。


 ――それにしても、もうちょっと見かけをよくしたいかも?


 人工池のまわりは泥でぐちゃぐちゃだし、水路にしてもそう。せめて石とかで補強しておきたいところだ。

 ジーッと全体を見ていて気が付いた。


「あ、あれじゃ車が通れないじゃない」


 湧き水を汲みには車で行くのに、水路が邪魔だ。車が通るたびにバシャバシャやってたら、水路なんてすぐに壊れる。車だって汚れてしまう。

 こうなったら、板でも渡して簡易の橋でも作らないと駄目かもしれない。

 どうしたものか、と、水路の水を眺めながら考え込む。


 ――分厚い板を渡すとか。薄っぺらかったら車が通っただけで折れてしまいそう。

 ――むしろ、石の板状のものを渡すとか?


 大きな石といえば、湧き水のそばの斜面にあったのを思い出すけれど、ちょっと危なそう。やっぱり、周囲にある木材が妥当なのかな。


「排水溝みたいにU字溝にして金属の蓋でもすれば……そうか、そうだよね」


 自分の呟きにハッとする。


 ――普通にホームセンターに行って買ってくればいいじゃない。


 無理やりここの素材でやろうとしなくたっていいんだ。


「ついつい、目の前にある素材でなんとかしなきゃって気持ちになっちゃうのよね」


 苦笑いしながら、もう一度水路を見る。

 どうせなら、あの人工池の周囲も、土でせき止めるのではなく、レンガとかで囲ってもいいかも。そうすれば、ちょっとは洒落たものになるはず。そうなるとU字溝の色味も考えないと。私のイメージだとU字溝は白っぽいんだよなぁ。


「まぁ、今は考えても仕方がないか」


 何せ、向こうは台風中。買い出しには行けないし、水のほうも、それなりにストックはある。急いで湧き水をとりに行く必要もない。

 とりあえず、万が一、増水しても溢れないように、掘り返していた土(自動収納されていた)を使って、人工池と水路に盛り土をしておくことにした。

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