表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
花咲く季節を満喫する春

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

397/980

第359話 桜茶を飲みながら

 暖かい日差しを浴びながら、ログハウスの前の桜を愛でつつ、のんびり桜茶を嗜んでいる私。

 すでに満開の時期は過ぎて、ハラハラと花びらが散ってますけどね。

 その上、緑の葉も見え始めてますけどね。

 ほーっ、とため息をつきながら、先日、ラインハルトくんたちが、母国、ジェアーノ王国へと帰国した時のことを思い返す。



 エイデンがドワーフたちの家族を連れてきて早々、早めにジェアーノ王国に戻った方がよさそうだ、という話になったのだ。

 なんでも、帝国側が本格的に侵攻を始めそうだ、ということで、桜の木を早く植えた方がいいだろう、ということになったのだ。

 そのためには当然、守るべき対象でもあるラインハルトくんも帰国しなければならず、ガズゥたちとは、涙、涙の別れになってしまった。

 その中でガズゥは、「冒険者になったら、会いに行くからな」と約束をしていた。

 きっと彼のことだ。有言実行に違いない。


 ラインハルトくんたちは、少し大きめな箱馬車に乗って、エイデンに運ばれていった。

 この箱馬車は、元はグルターレ商会の持ち物だった物。

 最速でジェアーノ王国に戻るには、エイデンに運んで貰わなければならず、さすがにラインハルトくんたち、普通の人間にエイデンの背中での移動は無理。かといって、村にあるのは屋根のない古い荷馬車。

 そこで、まだ村に残っていたグルターレ商会に話をもっていったら、モリーナさんのこともあるので、と、商会の箱馬車を格安で譲ってもらうことになったのだ。

 何せ、グルターレ商会の箱馬車、元々、商品を運ぶために専用で作られた物だそうで、見た目以上に物が入るのだとか。

 どんだけ? と思って中を覗かせてもらったら、車体の半分くらいが普通の座席、その奥にドアがあり、そのドアの先が……車体と同じくらいの大きさのスペースがあったのだ。

 外から見たら、そんな大きさはないのに……異世界スゲー、と思った。

 むしろ、あんなに格安でいいのか、と、逆に不安になったので、ユグドラシルの葉をいつもより多めに渡した。その時、ニッコリ笑ったカスティロスさんの顔は、忘れられない(ブルルッ)。


 ラインハルトくんたちの帰国のお土産にと、桜の苗木の他に、はっさくの皮のピールを瓶詰にしたのを渡しておいた。最初、ピールにするのを思いつかなかったせいで、皮は普通に捨ててしまっていたので、量はそれほど多くは作れなかった。

 まぁ、ちょっとした手土産程度になればいいかな、というところだろう。

 目ざといエイデンは自分の分も、と言って、一瓶トッていったけど、あちこち行ってもらってるお駄賃だとしたら、安いものだろう(いや、安すぎるか)。


 他にも、久々の帰国ということもあったので、洋服を新たに買ってきてあげた。

 と言っても、あちらに貴族の坊ちゃんが着るような服はないし、動きやすい服の方がいいだろうということで、ジーンズにロングTシャツ、グレーのパーカー(デフォルメされた狼のワッペン付き)をプレゼントした。

 ……なんでも似合っちゃうのは、西洋風なお顔立ちのせいですかね。

 

 それと、ラインハルトくん用に、ガズゥたちとお揃いのミサンガを作ってあげた。色々な効能? がついているっぽいけど、それは見ないことにした。

 ……悪いモノじゃないんだしね(遠い目)。  


 箱馬車に乗り込んでいく、笑顔のエメさんとアルフさんを見送った時、出会った当初の頃を思い出した。二人とも疲れ果て、だいぶ老けて見えていたけれど、今では実年齢よりもかなり若く見える。帰国した時、色々、言われそうなくらい。

 ……いろんな意味で、無事を祈ったのは、言うまでもない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ