表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
花咲く季節を満喫する春

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

374/969

第339話 苺とマンゴーと、ユグドラシルと

 ログハウスの敷地の四隅に植えた果樹は、桜、梅、林檎に、柿。

 保存庫のそばの梅が散り始めていて、トンネル側の門の桜の蕾が膨らみ始めている。

 少し暖かい風が吹き始めているので、そろそろ開花してもおかしくはないかもしれない。

 ちなみに、ログハウスの正面に植えたアボカドの苗木は、四隅の果樹に比べると、まだまだ小さい。普通に植えたモノだったのと、植えた時期(あちこちに色々植えまくった)が悪かった模様。精霊たちも大忙しだったんだろう、ということにしておく。


 そんな中、私は今、長めのプランター3個に、苺の苗10個を植えている。まだ、台になる物は用意できていなくて、とりあえず植え替えだけ先にしているのだ。


『さつき~、これは、なーに?』

「うん? これは、苺」

『いちご?』

「そう、美味しい実がなるのよ」


 土の精霊たちが興味深々に飛び回っている。

 山のあちこちに果樹やハーブ、花などを植えたおかげか、この敷地の精霊比率は下がったとは思うものの、相変わらず、ぴっかぴっかと飛び回っている。


『すぐおおきくする?』


 前だったら、勝手に育ててしまった彼らだったけれど、今では一応、確認してくれる。


「ううん、この苗のペースのままでお願い」

『わかったー』

「枯れないようにだけ、見ててくれる?」

『はーい!』


 一応、日当たりのいいログハウスの脇に並べて置いたけれど、早いうちに台も用意しなくては。後で、ヘンリックさんの所に行って相談しよう。


「あとは、マンゴー」


 まさかマンゴーの種が、あんな平べったい物だとは思わなかった。一応、ネットで調べておいて正解。育つとかなり高い木になるらしく、これを囲うビニールハウスなんて無理かも、と思ったり。

 案の定、暖かい環境じゃなきゃ育たないらしいし、どうしようか、とも思ったけれど、すぐに大きくなるものでもないだろうし、とりあえず、室内で育てて様子を見ようかと。

 そもそも、発芽してくれるかどうか……精霊が、発芽させそうな気もするけど(遠い目)。

 さすがに一気に3個食べる勇気はなかったので、1個だけ。残りは、またゆっくりと。

 うちの畑の土の入った黒ポットに種を植える。 

 

『このこはぁ?』


 土の精霊が黒ポットの端に腰をかけて聞いてくる。


「この子も様子だけ見てて」

『わかったぁ~(ちょっと、よわっちいから、ほいっ)』


 精霊が土をポンポンッと叩いてあげている。うん、可愛いねぇ。


「次に植えるのは……この子たちか」


 私が『収納』から取り出したのは、ユグドラシルの枝。

 なぜ、ここにユグドラシルの枝があるかというと、エイデンに頼まれたのだ。なんでも、獣王国の山に植えたいらしい。あそこだったら、人は入ってこないし、フォレストウルフたちがいるので、他の魔物に掘り返されたりしないだろうと。

 そして、一番は、大きく育てば、浄化もしてくれるようになるそうだ。

 すっかり忘れてたけど、うちのユグドラシル(すっかり、うちの子)のおかげか、村の周辺、荒地だったところに、草が生えだしてたりする。あの黒ずんでいた土地ですらだ。

 私には、あの獣王国の山の方は、目に見えて浄化が必要そうには見えなかったのだけれど、圧倒的に精霊の数が少ないのだとか。

 私が常駐してれば、徐々に増えてくるらしいのだけれど、さすがにそれは現実的ではないので、ユグドラシルの出番らしい。

 目の前にあるユグドラシルの枝は、掌サイズの物が3本。ユグドラシルが、エイデンに言われて自ら落としてくれた枝だ。

 ユグドラシルと会話とか、さすが、エイデン、である。


「まずは、根が出てこないと植えられないからねぇ~」


 マンゴーと同じように、畑の土の入った黒ポットに、枝を刺す。


「ちゃんと育ってねぇ~」


 そう声をかけながら、如雨露からたっぷりの水をかけてあげたのだった。


        *   *   *   *   *


『ウマイゾ、ウマイゾ』

『アニジャノトコヨリ、クウキガウマイゾ』

『アニジャノトコヨリ、ミズガウマイゾ』

『そりゃぁ、そうさ』

『なんたって、さつきのいるところがいちばんさ』


 ユグドラシルの枝たちと、土と水の精霊が、そんな話をしてたなんてことは、五月は知らない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ