第334話 ひと段落……つくわけがない
山裾にガーデンフェンスを設置し続けて約5日。
なんとか、獣王国側の部分は設置を終えた。『ヒロゲルクン』の『伐採』と『タテルクン』のおかげで、一気に設置出来たのが大きい。
付け加えて、エイデンや獣人たちが伐採したり、魔物を狩ってくれたりしたのも大きな要因だと思う。
エイデンの伐採は、ちょっとやりすぎな感じではあったけれど(遠い目)。
なにせ、私のように山裾に沿うような伐採ではなく、直線でズドーンと木の倒されている場所が何本も出来ているのだ。まるで、ウニのように(遠い目)。
この延長線上にいたかもしれない魔物たちを思うと、少しばかり気の毒ではある。
それでも、自分で『伐採』しないで済んだので、その分、KPの節約にもなった。
ありがたや~、である。
ちなみに、魔の森とうちの敷地の間を行き来できるようにドアも作った。
……だって、獣人たちが食料調達に行けるようにできないかと、聞かれたんだもの。
よっぽど、オークが嬉しかったんだろうね(遠い目)。
私?
……ええ、せっかく勧められたのに、断れるわけないよね。
悔しいけど、美味しかったし(涙目)。
よく、戻さなかったと、自分で自分を褒めたい(涙目)。
あの姿さえ知らなければ、きっと喜んで食べたと思う(涙目)。
とりあえず、何の肉か聞かないのが一番いいんだと思うことにした……。
設置したのは、合計3か所。一番南の端の拠点の近く、北側のガーデンフェンスの端、その2か所の中間地点。それぞれに『これより私有地。入山できません』という看板も、エイデンに頼んで立ててもらった。
看板の板に文字を焼き入れてもらったんだけれど、なかなか綺麗な文字だったのには、驚いた。
それと、フォレストウルフたちの出入りできるスイングドアも付けた。
何気に『タテルクン』が進化してる。
大きさ的には小柄なホワイトウルフもギリギリ通れそうではある。当然、ビャクヤたちはアウトだ。
フォレストウルフといえば、お母さんフォレストウルフたちのお兄さんと旦那さんが、傷だらけながらも戻ってきた。果敢にも、ビャクヤたちに戦いを挑んだんだけど……お母さんフォレストウルフに張り倒されてたよ。
その後も続々と戻ってくる子たちがいたので、その子たちはガーデンフェンス内に入れるようにしてあげたし、ついでに厩舎も設置した。だって、妊婦なお母さんフォレストウルフのことを考えたら、安全な場所が必要かなと思ったのだ。
とりあえず、獣王国側のガーデンフェンスがひと段落ついたので、一旦、ログハウスに戻ることにした。本当は南側の端から、村までも繋げていきたいところなんだけれど、さすがに疲れた。
しばらくは、ホワイトウルフやフォレストウルフたちが、ガーデンフェンスがない範囲は見回りをしてくれるという。
うちの山周辺では狩れない高級食材(魔物)たちもいるので、心配しないでいい、とは、ビャクヤ談。
――うん、たくさんお食べ~(棒読み)。
獣人の木こり組も、山の間伐に入ってくれるというので、そこも期待していたりする。
何にせよ、遠いのだ。ここ。
本当はメンテナンスしに来なきゃいけないのだろうけれど、うちの山の面倒だって、まだ全部はみきれていないのだ。
今回はエイデンがいたから、軽トラごと抱えて飛んできてもらえたけれど、今後のことを考えると、もうちょっと移動がしやすいようにしないと、通う気がしないというか。
全然、ひと段落なんかついていないと思うけど。
「うわ~、あったかい~」
獣王国の寒さが嘘のように、うちの山には春がやってきているようだ。





