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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
物騒な異世界を思い知る春

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第322話 ちびっ子たちと、結界の許可

 エイデンたちが戻ってきて数日が経った。チーズはまだ残っている。あれだけのチーズが、そう簡単に消費できるわけもない。むしろ、ジェアーノ王国の方に残ってるの? という心配になるくらい。

 そのジェアーノ王国の様子がその後どうなったかを、簡単に知ることができないのは、地味に痛い。あっちだったらインターネットとかで情報を集めることができるのに、と、ついつい比べてしまう。

 たぶん、エイデンに頼めば簡単に調べに行ってくれるだろうけれど、何回も行ってもらう距離ではない。そこまで、自分も図々しくはなれない。


 今日も今日とて、私はウッドチップを振りまいている。

 上空では冷たい風が吹いているようだけれど、木に囲まれているおかげで、そこまで風を強く感じない。今日はトンネルのある方の道。轍ができているのを『整地』で均しながら、進んでいく。

 そんな私の後を、ウノハナたち末っ子3匹が後をついてきている。自分たちが粉砕した木片なのがわかるのか、鼻をふんふんいわせながら、ウッドチップの匂いを嗅いでいる。


 立ち枯れの拠点に向かう道との分岐まで来た時、その道から駆けあがってくるガズゥたちの姿が目に入った。


「五月様~!」

「おはよう~」

「おはよう~」


 嬉しそうに駆け寄ってくる姿に、ニヨニヨする。


「おはよう~。今日はどうしたの?」


 テオとマルは、そのままの勢いでウノハナたちに抱きつきに行くが、ガズゥだけが私の目の前で止まった。


「あの、ラインハルト様のことなんです」


 ガズゥは彼が貴族なのをわかっているせいか、『様』と付けて呼んでいる。私もそう呼ぶべきなのかもしれないけれど、身分の感覚がピンとこないので『くん』呼びだ。


「ラインハルト様も五月様の敷地に入れるようにしていただけませんか」

「……ああ」


 今までは村の中だけで、剣術の訓練をしたり、オババさんの手伝いをするだけだったラインハルトくんだったのだが、今日、初めて、立ち枯れの拠点の方に興味を持ち出したのだという。

 ガズゥたちがそちらの畑の手伝いをしているのが気になったそうで、一緒に入ろうとして、結界のせいで入れなかったらしい。


「よし、じゃあ、村まで行こうか」


 普段はスーパーカブで行くとすぐに着くのに、歩くとちょっと距離がある。まぁ、いい運動だ。ガズゥたちは私を置いてさっさと行ってしまった。仕方がない。

 村に着くと、楽しそうにわちゃわちゃしているガズゥたちの姿にほっこり。最初に私に気付いたのはラインハルトくん。


「待たせてごめんね」

「い、いえ……」


 もじもじしだしたラインハルトくんが、なんか可愛い。


「あの、さつきさまは、まじゅつしなのですか?」


 凄い! すっかり、獣人たちと同じ言葉を使っている!


「違うよ~。でも、ここの結界は、私の許可がないと入れないのよ」


 ラインハルトくんが結界の中に入るのを許可すると、目をキラキラさせて見上げてくる。そんな期待の眼差しを向けられても、何も出来ないよ~。


「あ、五月様!」


 子供たちに囲まれていた私に気付いた村人の一人に声をかけられる。


「おはようございます~」

「ちょうどよかったです!」

「……はい?」


 なんかまた、問題でも起きました? 


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