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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
物騒な異世界を思い知る春

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第319話 セーターと、戦争のこと

 今日は部屋にこもって、編み物三昧である。

 バレンタインに向けて、エイデン用のセーターを編んでいるのだ。 当然、こっちにはバレンタインデーなんてないけれど、なんかイベントがないと、渡しづらいというか。

 色合いは、濃いめの青からグラデーションで薄い青になるように編んでいる。編み方は当然、シンプルなメリヤス編み。それしか、出来ん!

 今はなんとか前身頃と後身頃までは編めたので、今は、袖に取り掛かっている。たぶん、なんとか間に合うはずだ。


 ラインハルトくんたちは、まだオババさんの家にいる。

 エメさんはオババさんの手伝いをしながら、薬の作り方を教わっているらしく、なかなか筋がいいそうだ。

 一方のアルフさんは、獣人たちと一緒に山に入って木材を集めたり、ドワーフたちの作業の手伝いなんかもしているようだ。

 驚いたのは、梅ジャム茶の効果なのか、それとも、オババさんが他の食べ物を出しているのか、老人だと思っていたアルフさんの姿が、若返ったこと!

 白髪だった髪の色が、頭頂部の方が濃い茶色に変わってるし、皺やシミの浮いてた肌が、すっかり綺麗になっていたのだ。

 よくよく聞いてみると、アルフさん、元騎士だったのが、以前にあった帝国との小競り合いの時に怪我をして以来、一気に老け込んでしまったのだとか。

 本当の年齢は40代前半なんだと。でも、今のアルフさんの姿は、30代と言ってもいいくらいに若返ってますがな!

 絶対、ただの怪我での老け込み方と違ったんじゃないか、と、勝手に予想している。


 ラインハルトくんは、しばらく引きこもっていたのだけれど、ガズゥたちがなんとか外に出すことに成功したようだ。

 今では、アルフさんの時間がある時に、4人で剣術の練習を見てもらっているようだ。

 ガズゥたちは元々エイデン仕込みの戦い方があるけれど、アルフさんから教えてもらう剣術も、楽しいようだ。




 よし、キリのいいところまで編めた。


「うーん、ちょっと休憩」


 キッチンでお湯を沸かして、インスタントコーヒーをいれる。

 マグカップを持って窓のところから外を見ると、相変わらず、いい天気。

 寒いけど。




 今年は、ありがたいことに、まだ雪が降っていない。

 あんまり降らなさ過ぎても、水不足とかにならないんだろうか、と心配になるけれど、この世界には精霊がいるし、この山自体、精霊だらけだから、そこまでのことはないのだろうか。

 それよりも、ここよりももっと北にあるらしい、ジェアーノ王国の方が心配だ。

 獣人の村でさえ雪深いと言っていたし、冬に戦争をしかける帝国って、馬鹿なんじゃなかろうか。


 そういえば、エイデンがあちらで何かやってきたようで、一応、あの後、もう一度ジェアーノ王国に、今度はネドリたち数人を連れて行ったようだ。

 獣人が絡んでいるというのが気になったらしい。

 エイデン一人だったら往復に2日くらいらしいのだが、ネドリたちを運ぶとなると、そうもいかないようだ。私を獣人の村へ軽トラごと運んでもらった時のように、今回は馬なしの馬車に載せて運んだようだ。絶対、超寒いと思う。


 彼らがまだ戻ってきていないことと、具体的に何をしに行ったのか教えてもらえていないので、凄く心配だ。

 エイデンが怪我をする姿などは想像はつかないけれど、獣人たちの怪我をした姿を見ているだけに、心配にもなる。


「戦争かぁ……」


 この穏やかな生活が、これ以上脅かされないことを、切実に願う私なのであった。


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