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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
厳しい冬、楽しい冬

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第303話 冬の手仕事 ―編み物をする―

 雨、雨、雨、である。

 不審者が現れた次の日から、冷たい雨の日が続いている。 

 この天気というのもあるが、不審者のこともあったので、さすがに作業場のところまで下りる気にはならず、ログハウスに籠っている。

 あれから、新たな不審者情報はないようで、ビャクヤたちからは何も話はない。

 ちなみに、ビャクヤたちは雪が降りだす前に、ということで、ログハウスにある厩舎に引っ越し済み。末っ子3匹もすっかり身体が大きくなってしまった。

 そのせいもあって、ドッグランの方の厩舎は、ハクと、ユキとスノーたち若者組が集まっているようだ。


「う~、さぶいっ」


 カーテンの隙間から外を眺めて、ぶるりと震える。

 一応、暖炉に火をくべて部屋全体は温まってはいるものの、窓際となるとまた別だ。

 今、窓にかかっているカーテンは、ママ軍団が染めた布を使っている。

 赤ではない。濃いめの青地の生地に、手持ちの布をパッチワークのように縫い付けてみた。自分でも上手くできたと思う。


 私は暖炉の前、自作のパッチワークのマットにしゃがみ、毛糸の入った籠に手を伸ばす。先日染め上げた、ホワイトウルフたちの毛糸だ。

 老人たちが染めた濃いめの毛糸もあるけれど、今回は草木染した淡い黄色の毛糸で、セーターに挑戦中なのだ。毛糸自体も手作りなので、ボコボコしているけれど、これもいい味になるのではないか、と期待している。


 雨音とパチパチと木がはぜる音が、いいBGMになっている。

 フィッシャーマンセーターのような難しい編み方はわからないので、シンプルな編み方しかできない。自分用だから問題ない。

 編み物をしながら、セーター以外に何か作れないかな、と考える。

 レッグウォーマーとか、帽子なんかもいいかもしれない。そうだ、毛糸でカーテンなんてどうだろう。モチーフをいくつか繋げてぶら下げたりとか。そう考えると楽しくなる。


 実は、かなりの量の毛糸が作業小屋にも山積みになっている。

 老人たちの男性陣は毛梳きが楽しいようで、そのうちホワイトウルフたちが剥げちゃわないか、心配になるくらい。しかし、入れ替わり立ち代わりでやってくるホワイトウルフを見ていると、もしかして、他の群れも来てるんじゃないの? と言いたくなる。

 今はホワイトウルフたちの毛でやっているけど、羊みたいな動物とかはいないのだろうか。それならそれで、また違った風合いの毛糸が作れると思うのだけれど。一度聞いてみてもいいかもしれない。


 そして女性陣は糸を紡ぐのが楽しいらしい。染めあがった毛を、単色ではなく、いくつか混ぜて紡いでみたりと、実験的なことに挑戦しているようだ。

 おかげで編む人はほとんどいなくて、貯まっていく一方。ママ軍団が早いところ布から毛糸にシフトしてくれないかなぁ、と、密かに願っている。


 そういえば、作業小屋周辺をなんとかしたほうがいいと、ビャクヤが言っていたっけ。

 素直にドッグラン周辺にガーデンフェンスでも設置しておこうか。でも、そうなると、獣人たちの結界内へ入る許可をしなくちゃいけない。

 今のところ、山に入る許可をしているのはガズゥたちちびっ子だけ。これからもご近所づきあいをしていくなら、ママ軍団や老人たちくらいだったら、許可してもいいかもしれない。


 そんなことを考えながら黙々と編んでいると、時間はどんどん進んでいく。

 不意に、トンネル側の門の戸を勢いよく叩く音が聞こえた。


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