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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
厳しい冬、楽しい冬

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第297話 ダンジョンのセーフティエリア

 ネドリ達のダンジョン攻略は苦戦しているようだ。

 なぜなら、本来なら冒険者ギルドなり、国にダンジョンの発生を申告して、環境を整えてもらってから、攻略が始まるのが普通なのだとか。

 その環境というのが、セーフティエリアということらしい。残念ながら、攻略するのに1日程度でなんとかなるほど浅いダンジョンではないのだ。


 それとはまた別に、フロアボスと言われる魔物を倒すと、転送エリアという入口に戻る機能が現れるらしい。これは逆に戻ることもできるそうで、ダンジョンの中に入る時に向かうフロアが選択できるらしい。

 しかし、ネドリたち自身がまだフロアボスのいる所まで到達していないせいもあって、戻りは自分たちの足しかない。

 やっと8階層の入口まではいったものの、それ以上進めないらしい。それでも8階層まで行けているのだ、それはそれで凄いことなんだろう。


 一方のエイデンは、単独で30階を更新したそうだ。

 転送エリアは、どうも10階ごとにあるらしく、当然、10階、20階、30階の転送エリアは解放されているんだとか。

 だったら、ネドリ達も一緒に行けないの? と思ったら、一度、ボスフロアをクリアしていないと同行できないらしい。厳しい!


「そもそも、セーフティエリアって、どうやったらできるの?」


 オークの塊肉というのを山盛り持ち帰ってきたエイデンに聞いてみた。

 なんか、オークの中でも凄く強いオークらしく、ネドリたちの尊敬の眼差しを受けている。


「セーフティエリアか……確か、専用の魔道具か何かを設置するのではなかったか?」

「はい、そのように聞いておりますが……我々の手に入るような物ではなく……」


 値段次第で手に入るような物なのであれば、頑張ってお金を貯めるのもやぶさかではないのだけれど、そう簡単なことではないようだ。


「そういえば、エイデンは、セーフティエリアがなくても進めたんだよねぇ」

「俺の場合は、弱い魔物は寄って来ないからな」

「え、なんで弱い魔物が寄ってこないの?」

「俺が強いから?(それでも、だいぶ抑えているんだがな)」

「それ、魔物にわかるものなの?」

「私たちでも感じ取れますよ。エイデン様の強さは。我々もだいぶ慣れてはきましたけどね」


 ネドリたちが笑っていうくらいには、お互いに慣れたということなんだろう。

 私にはわかんないけどね。


「ふむ。そういえば、お前たちはまだ8階層までしか到達していないのだったか」

「はい……やはり、セーフティエリアがないと。我々には厳しいかと」


 素直に冒険者ギルドとかに申告したほうがいいのでは、と思い始めたところに、エイデンが、人の顔くらいの大きさの、ツヤツヤとした黒い鱗を取り出した。


「ヘンリック!」

「はいっ!」


 ドワーフのリーダー、ヘンリックさんが、ビールのジョッキを持ったまま、走ってきた。最近のドワーフたちは、鍋や包丁などの日用品から、武器まで作る、村の便利屋さんになっている。


「こいつを使って、魔物除けを作れんか」

「こ、これは」

「俺の鱗だ」

「!?」


 ヘンリックさんが、ぴたりと固まった。


「お前では無理か?」

「へっ、い、いえ、その魔物除けとは」

「セーフティエリアが必要なんであろう? 俺の鱗を使えば、よっぽどの魔物でもなければ寄っては来ないだろう」


 恐々と、黒い鱗を受け取るヘンリックさん。


「……よっぽどって?」

「うん? そうだなぁ。ドラゴンクラスでもなければ寄ってくることもあるまい。ドラゴンですら、躊躇するかもしれんがな」


 それは相当なレベルなんじゃないの?

 だったら、安心して野営することができるのかも。


 ……うん?


 寄ってこないのに、エイデンはどうやって魔物の肉を手に入れているの?


「それは、逃げられないように、威圧を抑えてるからに決まってるではないか。それに、俺に見つかった魔物が逃げ切れるわけがあるまい?」


 クククッと悪そうに笑うエイデン。

 ……魔物が少しだけ、可哀想かな、と思った瞬間であった。


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