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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
厳しい冬、楽しい冬

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第294話 冒険者ギルドからの訪問者

 とにかく村に、というので、詳しい説明もなしに、村へと向かう。

 ガズゥの走るペースに私がついていけるわけもなく、スーパーカブに乗って追いかける。

 稲荷さん? ガズゥと並走してます。

 ……まぁ、アレは人じゃないですしね(遠い目)。




 獣人の村についてみると、村の入口の門が閉まっている。私が作った時は単純な石壁と門だけだったけど、村人たちが門の左右に見張り台を作っていた。そこから、外の様子を見ることができるらしい。

 ちょっとばかり、物々しい感じはするものの、今までのことを考えると、この程度は当たり前なのかもしれない。

 その門の周辺に村人たちが集まっていた。

 私のスーパーカブのエンジン音で、一気に視線がこっちに向く。


「五月様!」

「すみません、お忙しいのに」


 糸車受け取ってただけなので、そんなに忙しくはないんだけど、そこはなにも言わずにニッコリと笑顔。


「どうしたんです?」


 今日はネドリもいるようで、門のところで難しい顔をしている。スーパーカブを止めている間に、稲荷さんはすでに村人たちのところにまぎれている。


「五月様、ケイドンの冒険者ギルドから派遣されてきたという冒険者たちが、中に入れろと……」


 ケイドン? て、どこよ? と聞いたら、一度買い出しに行った街のことらしい。

 冒険者って、あの獣人の村に行く時に、襲ってきた奴らみたいなのかな。そうだったら、めんどくさそう。

 それに、冒険者ギルドって言ったら、あの『お姫様』の出したギルドでの依頼もあるじゃない! あの組織で受ける仕事は、獣王国に限ったものではないって聞いている。となると、この村の一番最寄りの街のギルドであるケイドンにもきている可能性があるんじゃない?


「なんで中に入れろって?」


 ネドリたちが聞いたところ、荒地に突然むらが出来ているのでその調査に来たとのこと。


「その依頼って、どこからの?」

「ギルド長が出したらしい」

「うん? そういうものなの?」


 なんとなく、そういう調査って公的機関がするイメージがあった私なのだが、こっちでは違うのか。


「とりあえず、その人達ってそっちにいるのよね?」


 門の方を指さすと、皆が渋い顔で頷く。


「そんなに問題ありそうな人達なの?」

「いや、そこまでではないが……この国の人間の多くは獣人を好まないからな」


 そうだよねぇ。

 あの冒険者を見てるだけに、安易には中には入れたくはないし。


「……となると、私が話を聞いた方がいいのかな」

「危険です!」


 声を抑えながら、ネドリが首を振る。

 でも、いつまでも待たせるというわけにもいかないだろうし。待たせすぎて、余計に機嫌を悪くされた方が、面倒なことになりそう。


「あー、じゃあ、私が一緒に行きましょう」


 のんびりした声で稲荷さんが手をあげた。


「イナリ様がですか」

「はい、私、一応、この辺の地主の仲介をさせてもらってますんで」


 ニッコリ笑う稲荷さん。元々細い目が、もっと細くなってるよ!



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