第291話 冒険者たちの帰還
村人たちのおかげで、養蜂箱の話をしてから4日ほどで15個も出来てしまった。
こんなに作っても、全部にハチが入るかは疑問だけれど、どれかにでも入ってくれれば御の字なのだろう。
ちなみに、そのうちの5個は椿の植えられたところに設置した。残りの10個のうち5個は畑のそば、残り5個は村を挟んで反対側の空き地に設置した。空き地の方に、油の取れそうな植物を植えたいといったら、大盛り上がりになった。
どうも獣人たちは、獣脂以外の油は買うもの、という認識だったようで、自分たちで油を作るとは考えもしなかったらしい。
……これ、出来なかったら、皆にがっかりされそうだわ。しっかり『ヒロゲルクン』で土地を耕さないと、と思った。
一方で、リュコーリスの花の苗は、山の近辺では見つけることができなかった。
今の時点では、ハチが住みついてるわけではない。だけど、早いうちに探した方がいいかもしれない、ということで、誰が探しに行くか、という話をしているところに、獣王国に行っていたケニーたちが戻ってきた。
「ただいまぁ」
元気な彼らの声に安心するとともに、大きな荷物を背負っている様子に驚く。たしか、ネドリからアイテムバッグを借りてたと思ったのだけれど。
村の中ほどの広場で、荷物を下ろしている彼らに、村人たちが嬉しそうに声をかけている。どうも、アイテムバッグには村の為に買った物を入れて、各自で背負ってるのは、自分たちの家にと買ってきたものらしい。律儀だなぁ、と感心する。
アイテムバッグからどんどん出ていく大きめな麻袋。多くは穀物の入ったものらしい。獣王国では今年は豊作だったとかで、予想していたよりも安く買えたらしい。これだけあれば、なんとか一冬を越せるだろうとのこと。
「そりゃぁ、そうだよねぇ」
私は目の前で、どんどんと積み上がっていく麻袋の山を見上げながら呟く。これが倒れたら、私、確実に圧死するわ。
――あんな小さなバッグの中に、こんなに入ってるの?
自分もタブレットに『収納』しているけど、これは稲荷さんやイグノス様からの頂き物だから、と思えたのだけれど、こっちの魔道具も、なかなかのものなんだなぁ、と感心する。
食料の他にも、布や食器などの日用品なども並べられていく。エルフたちの商品を見ても思ったけれど、あちらの物を見慣れているせいもあるのか、良く言って、随分とシンプルなものばかりではある。
「随分と早かったねぇ……それに、全員戻ってきたのかい? てっきり、ドゴルたちはそのまま、あっちにしばらく腰を落ち着けるのかと思ってたよ」
荷物に夢中になっていた私ではあったが、ハノエさんの声で、ドゴルたちへと目を向けた。若者たちは顔を見合わせると、渋い顔になった。
……なんか、あったんだろうか?
「あー、うん。最初はその予定だったんですけど……詳しい話はネドリ様が戻られたらでいいですか?」
ネドリは、エイデンと狩りの得意な者たちと一緒に、少し離れた山まで狩りに出かけている。戻ってくるのは日が暮れた頃だろうか。
ハノエさんも厄介そうな空気を察したのか、これ以上は聞かずに頷くと、ケニーたちが買ってきた物を物色し始めたのだった。
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ちなみに、ネドリのマジックバッグのサイズは一般的ではありません。魔道具屋で売っているような物ではありません。いわく付きのマジックバッグです。





