表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
厳しい冬、楽しい冬

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

316/969

第290話 ゴモクハチ対策

 養蜂箱を作るのはいいのだけれど、気になることがある。


「そういえば、ゴモクハチっていうのが天敵のようなんですけど、何か対策とかないですかね?」


 私自身は、ゴモクハチを見たことはない。ハチたちの話では、結界内である山の中は安全、みたいなことを言っていたけれど、山の外となったら話は別なのだろう。

 獣人たちがメンテナンスをするとなると、当然、ガーデンフェンスの外、結界の外となる。


「ゴモクハチですか?」

「あれって、地面に巣があるやつよね」

「この辺にもいるのね」


 あーだこーだとママさんたちと話をしていると、村人たち数人とともに材料を抱えたガズゥたちが戻ってきた。その中には、なんとドワーフたちの姿もある。


「ゴモクハチですかい」

「ありゃぁ、人も襲ってくるヤツもいるから、質が悪い」

「この辺にもいるんですかい……厄介ですな」


 獣人たちが、真剣に話し始めた。

 彼らの表情から、そこまで!? と思ってしまう。ゴモクハチ自体を見てないから、私の中での危機意識はそこまで高くなかったけど、彼らの様子からも、真面目に駆除しておきたい、と思ってしまう。駆除できないなら、せめて近寄らせないとか。


「ゴモクハチの巣は、なかなか見つけにくくてなぁ」


 村人たちの中にもゴモクハチの対策方法を知る者がいなかった。困ったなぁ、と話していると、土の精霊たちが、私の耳元でこっそり教えてくれた。


『あいつらなら、リュコーリスっていうはなの、ねっこのにおいがきらいなんだ』

「リュコーリス?」


 土の精霊たちの言葉に、今度は風の精霊が割り込んでくる。


『このあたりにはないね』

『もっとひがしのほう?』

『かわのちかく?』

「川のそばに咲いてるのね?」

『いまはもうさいてないかも?』

『みなみのほうなら、まだあるかもよ?』


 精霊たちの大いに盛り上がっている声は、村人たちには聞こえていないと、思ったら、ドワーフの一人には聞こえていたらしい。


「リュコーリス……そういえば、そんな花もありましたな」

「あれは帝国の南側で見たことがあるな」

「たしか大きな川ぞいに群生であった気がするんだが」

「となると、この辺じゃ難しいか」


 土手の向こうには大きな川が流れているけれど、なぜか、この辺は荒地であまり大きく草も育たない。


『だったら、この辺に水をながしてあげるの~』

『あっちからながせばいいのよ~』


 今度は水の精霊たちが嬉しそうに言いだす。そういえば、少し先に、山からの湧き水で出来た小川がある。かなり細い小川ではあるものの、そのまま川へと流れ込んでいたのを思い出す。

 彼らのわきゃわきゃ具合に、祭りか! と、ツッコミそうになる。


「五月様」


 ヘンリックさんはびっくりした顔で、周りをキョロキョロ見ながら、私の方へと歩いてくる。


「精霊たちが、なんでこんなにいるんです?」


 そういえば、ヘンリックさんには精霊が見えるんだった。


「あ、うん、色々、お手伝いしようとしてくれてるみたいですね」


 えへへ、と笑ってごまかす私なのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ